第三部
九月院
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【邪神大戦】の遺物と化した廃墟街が幾つも有り、そこで市街地戦を行う。
日本は学園領域内の特定学区で行うが、そこは基本的に立ち入り禁止となっている。
わざわざ市街地戦をする為だけにだだっ広い土地を用意するのは狭い日本だと文句を言われても仕方ない。
「次の試合には期待してるんだけどな。何せあそこにはあの人が居るし」
刻名館学園の生徒会長《矢田狂伯》
今の関東領域で龍帝学園以外の学生魔術師が紫闇を満足させられるとしたら、恐らく彼しか居ないだろう。
しかし彼は居なかった。
どうやら一回戦では出ないようだ。
紫闇は肩を落とす。
だが相手チーム5人と1人で対峙する刻名館の生徒を見て姿勢を正した。
自分と同じ総白髪の男子。
190pは有ろう身長に野獣めいた風貌から覗く鋭い瞳は迫力たっぷり。
にこりともしない真一文字の口と後ろに流れる獅子の鬣が如く逆立った髪。
1人で相手チームの全員を前にしているにも係わらず仲間の元へ逃げようなどという雰囲気は微塵も感じられない態度。
(こいつは強い。間違いなく。もしかしたらレックスよりも)
白髪の男子が魔晄防壁を纏い、装紋陣/サークルから魔晄外装を取り出す。
蒼穹の柄と黄金の穂先の槍。
(何処かで……)
紫闇は男子の槍に見覚えが有るような気がしたが思い出すことが出来ない。
白髪の男子が動く。
右足を前に。
左足を後ろへ引く。
柄は顔ほどの高さ
穂先は地に着ける。
「あの構え、まさか……!!」
焔の祖父《黒鋼弥以覇》は紫闇らと共に試合を見ていたが急に大きな反応を示して声を挙げた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
圧巻。
白髪の男子は近付いてきた相手チームの3人を瞬く間に倒してしまう。
一人は間合いに入ると同時に喉を突かれ失神し、一人は攻撃を出すも回避された直後の石突きによる返しで沈み、一人は動くこともさせず眉間を弾かれ吹き飛ぶ。
遠距離から攻める残りの2人は全ての攻撃を躱して近付き一撃の下に気絶させる。
黒鋼焔が褒める程の腕前。
そんな人物の目がカメラの方を向き、画面越しに紫闇と視線が合った。
背筋が凍るとはこのこと。
紫闇は大量の冷や汗を掻く。
確信だった。
この男は紫闇より強い。
そして条件にも合う。
心を熱くする何かが有る。
間違いなく難敵の部類。
好敵手になり得るだろう。
「こんな強豪が今まで目を付けられずに居たなんて信じられない」
紫闇は捜していた逸材を見付けられて嬉しいが不思議な違和感を拭えなかった。
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