7-1話
[4/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
どうやら、そこで真理谷の考えが終わったのか、顎に手を添えて何か考え始めてそれ以上言葉は続かなかった。
それをよそに、オレは次はどう行動していいものか目の前の状況に直視する。
「それより、これからどうするつもりなんだ真理谷?」
「正常でない人間には近づかないのが道理―――…と言いたい所だが」
言葉を区切り、真理谷は目線と共にオレに向けて問いかけてきた。
「こんな環境だ。 怪物か、人間か…比べるまでもないだろう?」
「っ……!」
それは…ある意味究極の選択肢に聞こえた。
どちらも危険で、どちらも不明な要素が付き纏っていて“安全”から程遠いものだ。
「せっかく人間の集団を見つけたのに、すぐに離れるべきだと判断するには早いだろう」
「そう…だな。 今は様子見に、するべきだよな……」
疲れる。 疲れた。
体だけでなく、心が落胆しただけに気分が重かった。
まだ…まだダメになったわけじゃない。 そう思いながらも、投石の雨が地面降り注いだ光景が瞼の奥に残っている。
「……」
フラリ、と足が動いた。
「ん、おい仙石。 どこに行くんだ?」
「……」
「おいっ!」
「…ちょっと、そこらへんを歩いてくるだけだよ……一人になりたいんだ…」
煩わしい……。
声を荒らげる真理谷に、オレは振り返らずに足を止めて返事を返した。
そして返事を待たずに、夢遊病者のような足取りで森の中に入っていった。
―――――。
あてもなく歩きながらオレは考えていた。
頭の中が思考がグルグルと廻っていて、モヤモヤがスッキリしなかった。
それと言うのも…頭の中で浮かんで忘れられない幼馴染の存在が気掛かりだった。
だが、真理谷の言葉がどうしても…りおんの安否を不安なものにさせる。
暴動…など、そんなのないと思いたい。 だけど実際に見てしまった暴挙がオレを不安にさせる。
あの中にりおんがいるのなら…あの男達に囲まれていたら、どんな目に遭っているか…。
りおんは凡庸じゃない容姿だから…今頃は…。
「くそっ…!!」
拳を手近な木に叩きつけた。
力いっぱいに殴ってもそびえ立つ木はビクともせず、逆に樹皮に打ち付けた拳は焼けたように痛む。
だがそれ以上にりおんの事で頭が熱くなっていた。
あの鉄クズの中で、暴徒達にメチャクチャに穢されているかもしれない…そんなの想像だけでも、オレには耐え難い。
あいつは…幼馴染で、一緒に育ってきて、どんどん可愛く…綺麗になっていくのをずっと見てきた。
幼い頃は平気で接する事が出来たけど、時間が経つ毎に大切になっていく幼馴染…。
いつからか届かないほど高嶺の存在になっても、いま
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ