7-1話
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や、まだ情報が足りない……僕たちはここで何が起きて、どんな状況になっているのかわからないんだ」
「状況よりも、今すぐ調べるべきなのは人がいるかどうかだろ!!」
せっかく皆に会えると思ったのに、ここでじっとしていたくなんかない。
オレは二人を置きざりに見上げる位置にある航空機に向かって走り出した。
真理谷は静止する声を投げかけるが、それを無視して自慢の大声で呼びかけをした。
「おおぉーーーい! 誰かいないのかー!?」
声をかけるも五体満足の航空機からは反応がなかった。
「(何で…何が……何が起こったってんだ!?)」
状況を把握できない事がオレを焦らせる。
皆の安否を…ひいてはりおんの事が気掛かりだった。
搭乗口から滑り台の脱出シューターが一つだけ出ているのが見えた。
他にも搭乗口は開いているがどれもシューターが落ちていて地面にゴム材の山を作っている。 唯一残っているシューターから航空機の中に入るため、オレは真っ直ぐそこに駆け寄ろうとした。
「―――寄るなあぁぁっっ!!」
切羽詰った声と共に何かがオレに向かって飛んできた。
「っ…うわぁ!?」
咄嗟に反応して飛び退くと、飛来してきた物体は足元の地面に落ちて跳ねた。
カラァン、と軽い音を立てたのは木の棒で、声に反応していなければ回転して投げられたそれは体のどこかに当たって怪我をするのは間違いなかった。
「それ以上近づくな、あっち行けぇ!」
それは男の声だった。
成人男性と思われる太い声が航空機の中から発せられていた。
「お…おい! いるのか…? 人がいるのか!?」
「…………」
「なあ! 人がいるのか、それなら…訊きたい事があるんだ!!」
人がいる。 幻聴なわけがない。
声はしていたから姿は見えなくとも、航空機の中にはたしかに誰かいるのは間違いなかった。
それをこの眼で確かめるために、一歩前に踏み進めようとする。
だが…。
「寄るなって言ってんだろうがあっ!! 殺すぞ!!」
それは、オレが思っていた声とは違った。
生還を喜んでくれる声とは全く違う―――敵意を剥き出しにした拒絶の声だ。
航空機の割れた窓から顔がいくつも現れた。
そのどれもが穏やかそうには見えない形相をさせていて、鋭い視線をオレに集中する。
そしてそいつらは男の怒号が号令として、窓の物陰から何十ものの石を投げ付けられた。
「なぁっ!?」
拳ほどの大きさの石つぶてが一斉に殺到する。
目の前の光景に圧倒されてしまっていて、反射的に回避行動を取れず硬直した。
だがそんな時オレの腕を掴み、引っ張る手があった。
「何やっているんだ仙石!!
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