第百五十八話 西国の政その一
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第百五十八話 西国の政
久志は英雄にこれまでのことをドーナツショップで向かい合って座って紅茶を楽しみながら話した。
そしてショコラフレンチを食べつつ言った。
「それでローマに帰ってな」
「その後はか」
「政に専念してるさ」
「そうか」
「ああ、地中湖はもう完全にな」
それでというのだ。
「俺達の勢力圏になったぜ」
「それは何よりだな」
英雄はエンゼルショコラを食べながら応えた。
「聞いていてどうなるかと思ったが」
「俺が負けると思ったのかよ」
「それは思わなかった」
英雄はあっさりとした口調で返した。
「お前にもレーヴァティンという切り札がある」
「だからだよな」
「それは考えなかった」
一切というのだ。
「全くな、だがお前がどうして戦って勝っていくのか」
「そのことをか」
「思った」
こう久志に述べた。
「そういうことだ」
「成程な」
「そしてそれはお前も同じだな」
「お前が負けるとかな」
笑ってだ、久志は英雄に返した。
「全くな」
「考えられないな」
「ああ、そして実際にだろ」
「俺も長い戦になったが」
それでもとだ、英雄は久志に答えた。
「これまではな」
「勝ってるんだな」
「当然だ、だが」
「その勝つまでにか」
「何かとあった」
こう久志に話した。
「そしてそれをだ」
「今から話してくれるか」
「そうしていいか」
「ああ、その為に今お前といるからな」
久志は英雄に笑って返した。
「だからな」
「それならばな」
「ああ、しかしな」
「しかし。何だ」
「お前やっぱり女の子は」
英雄のその相変わらずの無表情を見つつだ、久志は彼のあちらの世界での艶福家ぶりについて笑って言うのだった。
「あれか」
「人妻や相手がいる女には手を出していない」
「それはか」
「だから問題ないな」
「それはそうだけれどな」
「それでもか」
「お前はやっぱり相変わらずなんだな」
「女は好きだ」
これが英雄の返事だった。
「やはりな」
「やっぱりそうだよな」
「女はいいものだ」
英雄はにこりともせず述べた。
「飽きない」
「はっきり言うな」
「酒に女があってこそだ」
まさにとだ、英雄はさらに話した。
「人生だ」
「だからはっきり言い過ぎだろ」
「事実だから言う、やはり女はだ」
「いいものなんだな」
「お前もあちらの世界では結婚しているから言えるな」
「いや、お前は奥さん何人もいるだろ」
「一人だ」
「そこはな
久志は引きつつどうかという顔で答えた。
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