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俺の妹がこんなに可愛いわけがない〜とある兄と弟の日常〜
第二話『俺の弟と妹がアキバに来るわけがない! 前編』
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ダムッ…ダムッ…ダムッ………


 無人の体育館に響くボールをつく音。その音の正体は楽しげにバスケットボールでひとりドリブルをしている高坂雄夜だった。


「よっしゃ!3P!」


 3pラインからワンハンドシュートをうつ。うったボールはゴール目掛けて綺麗な放物線を描いていく。


 バスッ…


そのまま、ゴールに吸い込まれるようにネットを潜った。


「…ふぅ〜……」


 一息つきながら汗を袖で拭う。


「ナイスシュート!さすが、元日本一の高校生バスケットプレイヤー」

「……なんで、この時間にお前がここにいるんだ?クリス。確か今講義中だろ?」

「今日は休講です」


 この、金髪に蒼い瞳の整った顔をしたハーフの女性、彼女は柳瀬・クリス・麻希奈。雄夜の幼なじみである。


「それなら、こんな所いないでサークル棟にでも行けばいいのに…」

「ユーヤ、忘れたの?これでも私、元バスケットボールプレイヤーだよ。ボールの音が聞こえたら嫌でもこっち来ちゃうよ」

「はいはい」


 クリスと雄夜は中学、高校共にバスケ部に所属していた。しかし、常に共に歩いてきた二人だがその道は対照的だった。
雄夜は中学の頃からその恵まれた才能と努力で天才と呼ばれていた。クリスは能力的にはかなり下の方で特に特出した物はなかった、ある物を除いては…


「なら、見せてくれよ。全国1のシュート率を誇った『コート上の狙撃手』の異名を持つ柳瀬・クリス・麻希奈のシュートを…」

「あははは、懐かしいねぇ、その呼ばれ方。でも長いこと打ってないから、もう入らないよ…」

「別に入らなくてもいいんだよ。俺はただ、久しぶりにお前のシュートが見たいだけなんだ」

「………しょうがないなぁ〜、一回だけだよ」


 ボールを雄夜から受け取りダムッダムッとついてり擦ったりして感触を確かめる。
3Pラインまで出てゴールを見据える。そして、一呼吸置いて構えてシュートをうつ。


 バスッ!


 雄夜がうったシュートとはまたちがった感じのシュートが綺麗な放物線を描き吸い込まれるようにネットを潜った。


「ナイスシュート…」

「ふぅ〜、まさか一本目で入るとは思わなかったよ」

「またまた。ほら、汗拭けよ化粧が落ちるぞ」

「うん、ありがとう」


 雄夜からタオルを受け取り汗を拭く。たった一本シュートを打っただけとは思えない汗をかいている。
クリスが『コートの狙撃手』と呼ばれるのはこのシュート一本に掛けるもの凄い集中力があるからだ。
クリス曰く集中している時は周りがすべて止まっているように見えているらしい。









 ◇◇◇◇◇
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