第六十二話 未知との接触
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リリと奥歯を噛み、恐怖をねじ伏せた。
38口径リボルバー『S&W M36』を、腰のオルスターから出してサーベルクーガーへ向けて撃つのと、サーベルクーガーの前足が目に止まらぬ速さでアニエスを切り裂いたのはほぼ同時だった。
パァン!
乾いた銃声が混乱した現場に響き、そして鮮血も散った。
「あああああああっ!」
アニエスの顔から鮮血が飛び、左の顎から頬まで深い裂傷が出来た。
一方、アニエスが放った銃弾は、サーベルクーガーを外し地面の小石を跳ね上げただけだった。
吹き飛ばされたアニエスは、地面に叩きつけられた。すぐに起き上がろうと身体に力を入れたが、全身の感覚が消え、まるでで動かない。
(あ、あれ? 身体が動かない……?)
何とか身体を動かそうとするが、大量のアルコールを摂取したかの様に目の前がぼやけてしまった。更に痛みすら消え思考も回らない。
(あれっ? なんで私ここに居るんだっけ?)
思考の回らないアニエスに、サーベルクーガーは前足を腹に乗せ、アニエスの身体を押さえつけた。
『美味ソウナ、『メス』ダ……!』
(あ、動物って喋れたんだ)
舌なめずりをするサーベルクーガーに対し、アニエスの思考は定まらず、的外れな事を思った。
サーベルクーガーの胃袋に収まるかと思われたが、アニエスの身体は戦う事を忘れていなかった。
アニエスは自動人形の様に、手に持っていたM36の引き金を無意識に惹いた。
パァンパァン!
二つの銃声が響き、至近距離で放たれた銃弾はサーベルクーガーの腹に食い込んだ。
『ガアァッ! ヨクモォッ!!』
怒ったサーベルクーガーは、引っ込めていた爪を突き出し胸を貫こうとした。
あわや、と思ったその時、護衛のウォーター・ビットがウォーター・ショットの集中攻撃で、サーベルクーガーを蜂の巣にした。
『グワアァァァァッ!』
蜂の巣にされたサーベルクーガーは倒れずに周囲の民兵を蹴散らすと、壁を飛び越え何処かへ逃げ去った。
「アニエス、大丈夫か!」
「あう、あ、デヴィット隊長」
「喋るんじゃない! 顔が血塗れで凄い事になっている。誰か秘薬を、大至急だ!」
サーベルクーガーを追い払ったものの、アニエスを始め捜索隊の被害は無視できないものだった。
「誰が秘薬を!」
「早くしてくれ、血が止まらない!」
救護班が負傷者の手当てを始める。
遂にヒューゴがデヴィットに泣きついてきた。
「隊長、このままじゃ押し切られます。ジリ貧ですよ〜」
「弱音を吐くな! もうすぐ他の部隊が救援に来る!」
他の部隊にはウォーター・ビットを使って救援を要請している。
「そうなんで
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