第8章:拓かれる可能性
第248話「それでも、届かない」
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耐えて戦える人を増やすのを待つべきや……!)」
シャマルに状況を聞いたはやては、そう分析する。
今はまだ無理をする時ではない。
復帰するのを待ってからの方が、手段は多くなる。
「(……問題は、それまで私達が耐えられるか、って事やけど……)」
戦況は常にギリギリだ。
今は持ち堪えるだけに留めているが、それでも敗北と隣り合わせだ。
時間稼ぎが出来なければ……否、そもそも本命である優輝を正気に戻せなければ、全てが無意味になってしまう。
「(……そこは、信じるしかないか)」
要となるのは結局司達だ。
彼女達を信じて戦い続けるしかないと、はやては内心結論付けた。
「ふッッ……!!」
「………!」
「はぁっ!!」
圧倒的な“闇”に穴が開く。
優奈が“闇”を切り裂き、直撃を避けたのだ。
さらに、祈梨が容赦なくイリスに極光を叩き込む。
他の“闇”に相殺されたが、イリスは鬱陶しそうに顔を顰める。
「ちょこまかと……!」
「物量で圧倒している癖に、よく言うわね……!」
導王流でも受け流せそうにない攻撃を、優奈は一点突破で何とか凌ぐ。
転移が使えれば話は違うが、生半可な転移はイリスの力で無効化される。
“闇”による力場で、空間跳躍の類が出来なくなっているのだ。
「(転移出来ても、一回!連続は不可能……!)」
絶対に出来ない訳ではなく、“領域”を上手く使えば可能だ。
しかし、連続は不可能であり、転移で攻撃を躱す事は出来なくなっていた。
「(祈梨も力が落ちてる……“エニグマの箱”が止まっていないから、侵蝕でどんどん弱くなっているのね……)」
一人でもイリスと戦えていたはずの祈梨の力も落ちている。
厳密には、世界そのものの“領域”が弱まっている。
戦闘における法則こそ、まだこの世界に寄せられているが、それだけだ。
最早、祈梨に対する強化など、微々たるものだった。
「くっ……!」
祈梨が“闇”を相殺し、相殺しきれなかった“闇”も優奈は突破する。
だが、それでも押されている。
真正面からの質量で、イリスは二人を上回っていた。
「はぁっ!」
気合一閃。“闇”を切り裂いて前進する。
しかし、直後に“闇”を避けきれずに防御に回る。
“闇”の表面を滑るように、横に転がり避けるが、前進した分後退させられた。
「(前に進めない……!)」
祈梨は頑張っている方だ。
イリスの“闇”を半分請け負ってくれなければ、優奈はもっと苦戦していた。
「(前衛後衛の陣形だと、これ以上はダメね……)」
しかし、例え一人でも……否、一人だからこそ
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