第百三十七話 連勝を見てその二
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「何といっても」
「兵の数も多いですが装備も」
「全くちゃう」
「日本とは」
「それが明らかやからな」
それ故にというのだ。
「日本にはな」
「勝てんか」
「絶対やなくても」
それでもというのだ。
「百パーセントに近いわ」
「そうですか」
「かく言う自分もそう思ってるやろ」
アグノンはビクトリアにこう尋ね返した。
「実際は」
「そう言われますと」
貝柱の刺身を食べつつだった、ビクトリアは答えた。
「戦力差は明らかです」
「これまで以上にな」
「アメリカは数では中国に劣りますが」
「その装備の質はな」
「連合と地下世界随一で」
「代々一九四〇年代位やな」
サンチェスは自分達が起きた世界の基準から話した。
「おおよそ」
「それ位かな」
ガルパンはサンチェスのその言葉にうずらの煮玉子を食べつつ応えた、醤油と唐辛子で味付けされたそれも実に美味い。
「こっちの世界のアメリカは」
「それ位や」
「文句なしの技術大国だね」
「しかも物資も豊富や」
「国力もダントツだからね」
「それだけにな」
まさにというのだ。
「強いわ」
「そうだよね」
「しかも術を使うモンも多い」
このこともあってというのだ。
「それで拙僧も思うわ」
「日本はアメリカに勝てない」
「しかも」
欧は天婦羅の海老を食べつつ話した、紅葉おろしを入れたつゆに付けて食べるそれは実に美味かった。
「これまで日本は知略で勝ってきたが」
「それがなんだ」
「そや、二度使ってな」
「もう知略もだね」
「アメリカ側に警戒されてる」
日本のこれまでの勝因となったそれがというのだ。
「それだけにな」
「それでやね」
「どんな策を使ってもな」
即ち知略をというのだ。
「アメリカに警戒されて」
「見破られるかな」
「そうなるわ」
「だから難しいんだね」
「日本は知略がないと勝つ見込みはないが」
「それでもだね」
「そや、アメリカにそれを警戒されてな」
そうしてというのだ。
「見破られるとな」
「負けるしかないんだね」
「これまでよお知略を使ってきたが」
それでもというのだ。
「その知略が通じんと」
「日本はどうしようもないんだね」
「そや、ほんまにもう日本に勝ち目はない」
それこそと言うのだった。
「どうにもならんわ」
「そうなんだね」
「むしろここまでようやったわ」
アグノンは日本酒を飲んでからこう述べた、しみじみとした口調で。
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