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ドリトル先生の競馬
第七幕その十

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「けれどね」
「先生はしっかりしてるから」
「誰にも暴力は振るわないし」
「生徒さん達を消耗品みたいに扱わないし」
「誰にも公平で優しいからね」
「人権を言う人が人を消耗品扱いする」
 先生はこの現実にも思うのでした。
「間違ってるね」
「全くだよ」
「自分が一番人権を無視してるじゃない」
「それこそ」
「それで人に人権とか言うとか」
「嘘八百だよ」
「そうした人は人権を利用しているんだ」
 それに過ぎないというのです。
「所詮ね」
「利用って」
「何それって感じだけれど」
「人権を利用って」
「そのことも酷いわね」
「自分の人権は絶対で」
 その利用の仕方はというのです。
「それでもね」
「他の人の人権はいい」
「そっちは」
「もう塵芥みたいなもので」
「どうでもいいものなんだ」
「そうした考えの人だから生徒を床で背負い投げとかに出来るんだ」
 そうした暴力を振るえるというのです。
「普通にね」
「それ死ぬよ、下手したら」
「後頭部とかぶつけたら」
「立派な傷害罪になるから」
「というか柔道の技よね背負い投げって」
「背負い投げって畳の上でするものなのに」
「僕は柔道をしたことがないけれど」
 とかくスポーツの実践とは無縁の先生です。
「これ位は知ってるからね」
「人を床で背負い投げなんか」
「もう柔道でも絶対にしたらいけないことで」
「立派な暴力で」
「他の人の人権を何とも思っていない人だから出来るのね」
「僕はそう思うよ、人も生きものも命があって心があるんだ」
 どんな人も生きものもというのです。
「そのことをよく理解しないと」
「絶対に駄目だね」
「先生がいつも言っている通りに」
「先生はちゃんと人権を知っているから」
「そうしたこともちゃんとしているんだね」
「そうする様に心掛けているよ」
 これが先生の返答でした。
「いつもね」
「そうそう、それが先生だよ」
「そうしたこともわかっていて」
「そのうえで皆に公平でね」
「とても親切なんだよ」
 皆はその先生に言いました。
「本当の紳士だよ」
「人としての在り方もわかっている」
「女性も子供も生きものも尊重していて」
「差別もしないしね」
「差別しないと言ったその口で人を全否定する様な罵倒を言ったら」
 それこそというのです。
「もう差別と一緒だね」
「罵倒も暴力だしね」
「人の心を傷付ける」
「言葉の暴力だから」
「そんなの出して差別反対と言っても」
「信じられないよね」
「そうだよ、人を踏みつけにする人は人を平等と思っていないよ」
 口でどう言ってもというのです。
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