後編
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いい」とか言うんだ〜。なぜこれがモテる? わかんないな〜。)
私はそのすました顔を見て、ちょっとからかってみたくなった。
「いやあ、同じ体験っていうけどさ。それでもなかなか面白かったよ。まさか君が ゆかり と付き合ってるとはねー。しかも、他にも何人か怪しい人が・・・」
「それは・・・」
そこで『彼』が初めて動揺を見せた。
(あっ・・赤くなってる。なんだ、可愛いとこあるじゃん。じゃあ、この辺で勘弁してあげるか。)
「ま、ゆかり は私の親友なんだから大事にしてあげてよ。私は自分の現実で、こっちの ゆかり と女同士仲良くしとくよ。」
私はニカッと笑って、そう言った。
「そう・・・親友なんだ。」
話を聞いていた ゆかり が私に向かって語り掛けてきた。
「そうだね。私、あなたのこと嫌いじゃないよ。なんか気が合いそう。一緒にいたらきっと仲良くなれたと思う。
『彼』がいない世界なんて、今の私にはもう考えられないけど、でもそこにも私がいるのなら、そっちの私をよろしくね。」
「言ったでしょ。親友だよ!」
二人で顔を見合わせて笑った。
「それじゃ、行こうか。」
『彼』に促されて、二人はドアから彼らの現実へと帰っていった。
続いて私も自分の現実に向かってベルベットルームを後にした。
「こら、いないの? 開けなさいよ。」
ドアをたたく音に目が覚めた。なんだかすごくよく寝ていた気がする。
起き上がってドアを開けると ゆかり が立っていた。
「寝てたの? どうしたの学校にも来ないで、具合でも悪いの?」
ゆかり が心配そうに聞いてきた。
「別に、具合は大丈夫だけど・・・学校?・・・えーと、今何時?」
私は、状況が良くわからずに聞いた。
「もう夜だっつーの。」
「ええっ! 私、学校行かないで1日中寝てた?」
「あきれた。」
ゆかり がため息をついた。
「よくそんなに眠れるわね。」
「なんだろう。なんかずっと変な夢を見てた気がする。」
私は何か思い出しかけて、考え込んだ。
「変な夢?」
「私が男になって、ゆかり と付き合ってる夢。」
「何よそれ。」
ゆかり が笑いだした。
「それで、今夜は、タルタロスどうするの。」
「行くよ。もう十分寝たし・・・あ、でもお腹空いた。」
1日中寝ていたなら、今日は何も食べていないことになる。空腹なわけだ。
「私の作った手抜き料理で良ければ食べさせてあげるから。」
「わーい。ゆかり 愛してる〜。」
「馬鹿言ってないで、着替えてきなさい。みんな心配しているよ。」
そう言って、ゆかり は部屋から出て行った。
着替えて鏡を覗き込んだとき、ふっと誰か・・・男の人の顔が浮かんだが、それが誰かもわからないまま消えてしまった。
私はちょっと首をかしげて、それから部屋を出て行った。
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