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ペルソナ3 困惑の鏡像(彼が私で・・・)
後編
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を見てくる。
「えーと、ここはベルベットルーム。常識と非常識の狭間にあるという・・・。」
私が説明しかけると、「夢と現実。精神と物質の狭間です。」とテオが慌てて訂正してきた。
「あ〜、ごめん、ごめん。なんだか、さっきのやり取りを見てたらつい・・・。」
「あれ?その話し方。」
ゆかり が私を見ていて、ふいに何かに気づいたようだ。
「まさかと思うけど、さっきまでの『彼』は・・・。」
「あ、わかった? さすがだね、ゆかり。実は、さっきまで彼の体にいたのは私だったんだよ。」
「えっ、どういうこと・・・。」
私と『彼』は手短に状況の説明をした。
ゆかり は信じられないと言った表情で、あっけに取られて聞いていた。
「まさか、そんなことがあったなんて。どおりで朝から様子がおかしかったわけだ。」
ゆかり は ふーっと大きく息を吐き、それから安心したように『彼』を見つめた。
「うん、でも、君はやっぱりこっちのほうがいい。」
目を潤ませて『彼』に言う。
ゆかり にこんな表情をさせるなんて・・・なんだか理解しがたいやつだなあ。
そう思っていると、それまで無表情だった彼が、微笑みを浮かべ「ありがとう」と ゆかり に優しくささやいた。

「さて・・・。」とイゴールさんが口を開いた。
みんなが黙って、注目する。
「今回のイレギュラーな事態。こちらの不手際でご迷惑をお掛けしてしまい、大変申し訳ありませんでした。
本来、この部屋を訪れるお客人同士が出会ってしまうなど、有ってはならないこと。勝手ながら、今回のことは本当に『夢』、ということで皆さんにはお忘れいただく必要がございます。」
「そうやって、まずいことがあるたびに忘れさせているんじゃないでしょうね。」
『彼』がぼそりと言った。
「ギクリ!」とエリザベスさんが口にする。
「何、その『ギクリ!』っていうのは!」と私が突っ込むと
「いえ、単に『お約束』・・・というものでございます。」とエリザベスさんはすまして答えた。
「いやはや、今回は何を言われましても弁解のしようがございません。二度とこのような失態がないよう気を引き締めてまいります。是非ともご容赦を。」
イゴールさんが深々と頭を下げ、かえって申し訳ない気がしてきた。
「まあ、いつもお世話になってるし、そんなに気にしないでください。それなりに面白かったし・・・。」
私は明るく声をかける。
『彼』も黙ってうなずく。
「ありがとうございます。それでは、そろそろご自分の現実にお戻りいただきましょう。」
イゴールさんはそう言ってテオに合図した。
「せっかく会えたのに、ほとんど話もできなかったね。」
私が『彼』に声をかけると
「まあ、お互い同じような体験をしているらしいし、どうでもいいよ。」と返してきた。
(ほんとに「どうでも
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