後編
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。どこで誰に合うのかが気になっちゃって、こっそりついてきちゃったんだ。本当にごめんなさい。」
ゆかり が申し訳なさそうに『彼』に頭を下げる。
彼が問いかけるように私の顔を見てきた。
「ごめんねー。君のふりして学校に行ったんだけど・・・やっぱり親しい人はごまかせなかったみたいで・・・。」
私が手を合わせて言うと、
「なんとなくわかった。」
と、彼は表情を変えることなくうなずき、小さくため息をついた。
(あっ、こういうキャラか!)
私はようやく合点がいった。
「まったく・・・お客人以外の人まで入って来てしまうなんて・・・。テオ、直し方が甘いのではないですか?」
こちらでは、エリザベスさんが厳しい口調でテオに詰め寄っている。
「だから、お客人を元の体に戻すための、最低限の処置だと申し上げているじゃないですか。細かい調整はまだまだこれからです。そもそも事の発端は、姉上が癇癪をおこして暴れたりするから・・・。」
テオが必死に言い返す。
「それはマーガレット姉上が先に手を出してきたから、私としては身を守るために反撃しただけで・・・。」
エリザベスさんがそう言うと、今度はマーガレットさんが兄弟喧嘩に加わった。
「待ちなさい、エリザベス。私の責任だと言うの? もとはと言えばあなたが私のベルベットルームにケチをつけてきたからでしょう。」
「ケチなどつけていません。普通の人には理解のしがたい部屋だと申し上げただけです。」
「それでは、この部屋は普通の人に理解できる部屋だというの?」
マーガレットさんが両手で周囲を示した。
「待ってください、姉上方。ここで喧嘩などして、またお客人たちにご迷惑をお掛けしては・・・。」
慌てて、テオが仲裁に入る。
「お黙りなさい、テオ。」とマーガレットさん。
「そうですよ。テオのくせに生意気です。」とエリザベスさん。
二人の姉ににらまれて、テオドアがびくっとして後ずさる。
その時だった。
「これ、マーガレット。エリザベス。いい加減にしなさい。お客人の前で何を騒いでいる。これ以上ご迷惑をお掛けするでない。」
いつ現れたのか、イゴールが厳しい口調で言った
マーガレットさんとエリザベスさんが慌てて身を正し、直立する。
「そ、そうですね。エリザベス。お客人に迷惑をお掛けしてはいけない。テオはともかく、ここは主の顔を立てて、和解としましょう。」
マーガレットさんが取り繕うようにささやく。
「そうですわね。テオはともかく。」
エリザベスさんも同様に返した。
その横でテオが「そんなあ。」と情けない声を上げる。
しばらく様子を見守っていた ゆかり が困惑した表情で聞いてきた。
「・・・それで、結局、ここはどういう場所なの?」
「うーん。どう言ったらいいかな。」
訊かれた『彼』も説明に困ってこちら
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