後編
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と、ゆかり に向き直った。
「それで、ゆかり はなぜここにいるの。」
「その・・・私は、知り合いの後をついてきたんだけど、ポロニアンモールを歩いてたはずなのに、いつの間にかこの場所に来てしまって・・・。ここはいったいどういうところなの? 車の中?」
困ったように周りを見回す。かなり困惑している様子だ。まあ、突然にこんな非常識なところに連れてこられたらしょうがないよね。
なぜだか知らないが、ゆかり は私の後をつけてきたらしい。そして、私がベルベットルームに入るときに巻き込まれてしまったようなのだ。
これもベルベットルームが不安定な状態にあるせいなのか。
「本来は入ってこられないはずの方まで入って来てしまうなんて・・・。状況は、相当に混乱しているようね。」
マーガレットさんは目を閉じ、ため息をつきながら首を左右に振った。
「あの、私の前に高校生の男の子が入ってきませんでした?」
ゆかり が不安そうに聞いて来る。
(ああ、ごめん。それは私のこと・・・。でも説明難しい・・・。)
私がそう思っていると、
「ええ、彼なら来ているわ。でも、話がややこしくなるから、ひとまずこうしましょう。」
とマーガレットさんが答えて、そこで何かを操作したようだ。
とたんに周りの景色がぐるんと回って全く別の空間に入れ替わった。一瞬の出来事だった。
「なにこれ!」
ゆかり が驚きの声を上げる。
そこは見慣れたエレベーターの中。私の知っている、いつものベルベットルームだった。
事故で停止していたようだったが、今はまた上昇を続けている。歌声とピアノの音色もいつも通りだ。
そこには3人の男女がいた。テオと銀髪ショートカットの美女。
そして前髪の長い男子高校生。さっきまで私が体に入っていた、私の同位存在の『彼』。
「おや、姉上。そちらの方々は?」
銀髪ショートカットの美女が尋ねてきた。
「テオのお客人とそのご友人のようね。こちらはエリザベス。私の妹です。」
「エリザベスと申します。いつも愚弟がお世話になっております。」
マーガレットさんの紹介で、エリザベスさんが丁寧にお辞儀をしてきた。
「いつもテオにはお世話になってます。」
私も慌てて名乗って頭を下げた。
「ご無事で良かった。それにしても、マーガレット姉上の部屋に行ってしまうとは、まだ接続に問題があるようですね。」
テオが笑顔でこちらに歩み寄ってくる。
その一方で、『彼』が ゆかり に声をかけた。
「岳羽・・・。」
ゆかり が駆け寄る。
「あっ、よかったー。こんなとこにいたんだ。なんかいきなり変な場所に出ちゃって、不安だったんだよ。」
彼女はうれしそうに声を上げた。
「どうして岳羽がここに?」
『彼』が不思議そうに声を漏らす。
「ごめん。君の様子がおかしかったもんだから・・・
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