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ペルソナ3 困惑の鏡像(彼が私で・・・)
後編
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夕刻のポロニアンモールは、買い物客で賑わっている。
そのポロニアンモールの一角に、いつも通り、ベルベットルームに続くドアは有った。
このドアは私だけにしか見えていない。このドアを開けて中に入ると、体はそのままに、精神だけが夢と現実の狭間にあるという、その部屋に行ける。
気が急いていた私は、速足で一直線に歩み寄ると、ドアの取っ手をつかんで引き込まれるように中に入っていった。

いきなり景色が変わる。
そこはいつもの見慣れた部屋・・・ではなかった。

「えっ、なにこれ・・・車?」
部屋・・・というか・・・やけに広くて豪華な、リムジンのような車の中にいたのだ。
向かいの席に座った女性が驚いた表情を浮かべている。銀髪のものすごい美女だった。青い制服を身に着け、大きな本を抱えている。
その出で立ちはテオドアを連想させた。
「あの・・・」
私は戸惑って、女性に声をかける。
「失礼・・・ようこそベルベットルームへ。」
女性は不意を突かれたような様子だったが、気を取り直したように身を正してから改めて語り掛けてきた。
「・・・ところで、あなたはどちらからいらしたのかしら?」
「その・・・私は、テオに用があって・・・」
「テオドア・・・? ああ、あの子のお客人でしたか。」
合点がいったらしく、女性がうなずいた。
「私はマーガレット。テオドアの姉です。」
「テオのお姉さん!」
私は改めて名を名乗って、頭を下げる。
「でもおかしいわね。本来、他の客人の部屋に入って来ることなどありえないのだけど・・・。ましてや、この部屋はまだ準備中。人が入れるようにはなっていないはずなのに・・・。」
「ああ、なんだか、夕べの事故でいろいろおかしくなってるみたいですね。」
私の言葉に、マーガレットさんは改めてうなずくと「確かにそうね。」と言った。
それから私の後ろに視線をやり、「それでそちらの方は?」と訊いてきた。
「へ?」
問われて振り向き、そして私は口をぽかんと開けた。
そこには困ったような顔の ゆかり が立っていたのだ。
「えっ・・・ゆかり? ・・・なんでここに?」
「・・・私の事知ってるの? あなたは誰?」
ゆかり が不思議そうに聞き返してくる。
「何言ってるの。私は・・・。」
そこまで言って気が付いた。
「あれ・・・女に戻ってる。」
ゆかり が私に対して、全く初対面のような顔をしているわけだ。私は元の姿に戻っていたのだ。月光館の制服姿だった。そして、女の私は、こちらの ゆかり にしてみれば初対面なのだ。
「肉体はこの部屋には入ってこれませんから、ここではあなたの本来あるべき姿になります。」
マーガレットさんが解説してくれた。
「そういうことか。でも良かった。これでようやく元の体に戻れるんだね。」
私はひと安心する
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