決定的な違い
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妖精の尻尾《フェアリーテイル》っていうギルドの一員ってこととかね」
その言葉を聞いてもわからないヨザイネとドラゴンたち。だが、オーガストだけはその言葉の真意に気付き、顔色を変えて地上の様子に目を向けていた。
(なんだ?今の音は・・・)
突然の変な音に動きが止まりそうになったシリル。そのわずかな隙をこの男が見逃すわけがない。
ドンッ
「ぐっ!!」
一瞬速度が落ちたタイミングできっちりと蹴りを腹部へとクリーンヒットさせてくるティオス。運良く魔法は発動してはいなかったものの、シリルは不意を突かれた形になりバランスが崩れてしまう。
「竜魔神の・・・」
畳み掛けるようにブレスの体制に入るティオス。危険を感じたシリルは自らの翼で自身の体を覆い尽くす。
「怒号!!」
至近距離で放たれたブレス。それは翼で防御を固めたシリルには一切届かなかった。だが、彼の魔法が弾かれた周囲は至るところに爪痕が残っており、受けていれば一溜りもなかったことを物語っている。
「ちぇっ、仕留め損なったか」
言葉では悔しがっているものの、声のトーンはそんな風には聞こえない。まるでこのようなチャンスはこれから何度でもあるとでも言いたげな、そんな印象を与えた。
「ナメるなよ?」
それにより、少年の心に闘志が漲ってきた。彼は翼を広げると、ティオス目掛けて急加速する。
「竜魔の翼撃!!」
自身の翼の上に魔力を合わせての攻撃。それは、通常のその魔法よりも高い攻撃力を誇っていた。
ガンッ
まともにティオスの肉体を切り裂いたシリル。それなのに、ティオスは怯むことなく自身の脇を抜けていった少年に向き直る。
「竜魔神の・・・」
背中越しに魔力を溜める感じが伝わってきたシリルも同様に彼に体を向けた・・・はずだった。
「!?」
それなのに、本来そこにいるはずの敵の姿が見えない。
「握撃!!」
「なっ!?」
そんな隙などあったはずはないのに、いつの間にか背後を取られそのまま地面へと突き落とされる。ここでダメ押しをするかのように、ティオスは額に手を当てると、落とされたシリルの目の前へと瞬間移動する。
(例のあれか!!)
ティオスは時の狭間に自らの魔力をリンクさせることにより、瞬間移動に限りなく近い動きをすることができる。シリルの速度が落ちた一瞬のタイミングを見計らい、彼はそれを使用して怒涛の攻撃に打って出たのだ。
「だが・・・」
種がわかってしまえばどうってことはない。それに、ティオスのそれは諸刃の剣。魔力をリンクさせるには時間がかかるため、自身が隙さえ与えなければ発動することはできないのだから。
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