夜の奇襲
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ウスケが正体らしき金色のライオン改めビーストは、そのままウィザードとアサシンの間に立ち入る。
「んで? 響、あれが人様のサーヴァントって訳だな?」
「うん。アサシンだって」
「あいつからサーヴァント全員倒したら、願いが叶う……と」
サーヴァントを倒したら、願いが叶う。そのことを理解していることから、ウィザードは彼が聖杯戦争の参加者だということを理解した。
「おい、コウスケ……まさか……」
「ああ。俺が、響の……ここはマスターらしく言うか。ランサーのマスターだ」
「っ!」
「……コウスケさん」
「だぁーっ! 皆まで言うな」
ビーストは響の言葉を遮った。
「俺は別に願いなんて興味ねえよ。こちとら大学終わった帰り道で疲れているんだっつーの。早くテントに戻ってバタンキューしてえだけだ」
ビーストがため息をつく。その一拍の中で、
アサシンが肉薄する。
「!」
「葬る」
彼女の冷たい声。ビーストの運動神経が優れていなければ、明らかに彼の命はなかった。
「危ねえな!」
ビーストは足技で反撃する。だが、斬られただけで命を奪う刀を持つアサシンに対し、ビーストは全力で攻撃できなかった。
「だあもうっ! めんどくせえ!」
ビーストは声を荒げる。ライオンが彫られたベルトに付いたホルスターから、何かを取り出した。右手中指に取り付けたそれは、ウィザードにとっては見慣れたものだった。
「俺と同じ……指輪?」
ビーストはその声には応えず、ベルト上部に取り付けられたソケットに押し当てる。そのまま捻ることで、ベルトの音声が起動した。
『カメレオン ゴー カカッ カッカカッ カメレオー』
ビーストの右側に、緑の魔法陣が出現する。ウィザードのものが円形なら、それは角ばった直線的な魔法陣。それがビーストの右肩___紫のイルカを肩に乗せた紫マント___を通過する。すると、イルカの頭は、緑のカメレオンのそれに変わった。マントもまた緑のものへ交換され、ビーストはそのマフラーをはためかせる。
「これでも食らいやがれ!」
ビーストが大きく肩を振る。カメレオンの舌部分が大きく伸び、アサシンの腕右腕を捉える。
「その物騒なもん、放しやがれ!」
勢いよく引き寄せると、アサシンの体が宙を浮いた。
「響!」
「はい!」
ビーストの掛け声に、響が応じる。
彼女は一直線にアサシンへ接近。かかと落としで妖刀を地面に叩き落とす。
そのまま響は、アサシンと格闘戦に持ち込む。二人が同時に着地したとき、すでにアサシンの腹には、響の掌が当てられていた。
「はっ!」
響の大声。ハッケイと呼ばれる中国武術が、アサシンを大きく突き飛ばす。
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