第4楽章〜フロンティア、浮上〜
第34節「デスティニーアーク」
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が中を通ると、その光を反射してきらきらと輝いた。
「ネフィリムの心臓が……」
「心臓だけとなっても、聖遺物を喰らい取り込む性質はそのままだなんて、卑しいですねぇ……。ふふ、ひひひ……」
エネルギーが供給された影響か、フロンティア地表には草木が生え始める。
新天地と言う名前は、比喩でも何でもない。この異端技術の結晶そのものを言い表すに相応しいコードネームと言えるだろう。
「エネルギーがフロンティアに行き渡ったようですね」
「さて、僕はブリッジに向かうとしましょうか。ナスターシャ先生は、制御室にてフロンティアの面倒をお願いしますよ」
そう言ってウェル博士はマリアと翼を伴い、ジェネレータールームを後にした。
「……」
眩しいくらいに光り輝く、フロンティアのジェネレーター。
切歌はそれを見上げながら、調の言葉を思い出す。
『ドクターのやり方では、弱い人達を救えないッ!』
「そうじゃないデス……フロンティアの力でないと誰も助けられないんデス……。調だって助けられないんデス……」
現実に翻弄され、正義を為す事も悪を貫く事も果たせぬまま懊悩するマリア。
フィーネとして目覚め、自らの存在が消えてしまう遠くない未来に怯える切歌。
希望を失った少女達は今、心を捩じ伏せ、フロンティア計画を拠り所にする事でしか、己を保つことができないでいた……。
ff
「助けて欲しい? そう言ったのか?」
発令所にて、調の様子をカメラで監視しながら、緒川からの報告を受ける弦十郎。
受け取ったペンダントは、了子へと渡された。
「はい。目的を見失って暴走する仲間たちを止めてほしいと……」
「ふむ……」
「あの……」
そこへ響達が入室してくる。
私服に着替えた未来も一緒だ。
「まだ安静にしてなきゃいけないじゃないかッ!」
「ごめんなさい……でも、いても立ってもいられなくて……」
「姉さんが居なくなったと聞いたら、どうしてもと……」
「確かに翔と響くん、その上翼までもが抜けたことは、作戦遂行大きく影を落としているのだが……」
そう言って弦十郎は、頭を掻く。
「でも、純くんに大事がなくて本当によかった」
「翼さんにも考えがあるんでしょう。やり方はもう少しどうにかして欲しかったですけど……」
額の包帯に手を当てる純。クリスは溜息を吐いた。
「敵を欺くにはまず味方から、ってか?ったく、こういうのはあたしの役回りだろうが……」
「でも、あの姉さんがこんな真似するなんて……。防人としての誇りを重んじていた姉さんが、ここまでする理由はいったい……?」
「弟のお前に分かんねぇ事があたしらに分かるかよ。だけど……」
間を置くクリスに、翔は首を傾げる。
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