前編
[2/6]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
タルタロス探索して疲れてたんで、部屋を間違えたかな?)
しかし、だとしたらこの部屋の主に起こされそうなものだ。
第一、昨夜は ゆかり と部屋の前で別れた記憶がある。男性は2階、女性は3階。それぞれ階が違うのだから、間違えたとは思えない。
では、寝ている間に誰かに部屋を移動させられた?・・・誰に?
首をかしげたものの、見当もつかない。
(まあ、とりあえず着替えてから、状況を確認しよう。)
服を脱ごうとして・・・・またまた違和感。
(・・・・あれ?)
はっとして自分の体のあちこちをさわって確かめる。そして壁にかかっていた鏡を、慌てて覗き込んだ。
細面の整った顔。前髪が長く、右目が隠れかかっている。それは見覚えのない男性の顔だった。
「誰?」
思わずそう言って、硬直した。私の声ではなかった。
(これ私の体じゃない。!)
「えええええ・・・!!」
自分で出した結論に驚いて、声を張り上げる。
(な・・・何が起きたの。体が誰かと入れ替わってる? 有り得ないでしょ、こんなこと・・・。)
困惑して頭を抱えながら部屋の中をぐるぐると歩き回った。
(こんなの非常識だ。・・・非常識と言えばベルベットルームだ。何かあったとすれば・・・やっぱりあの事故のせいに違いない。すぐにテオと連絡取らないと・・・。)
そう考えているタイミングで、机の上に置かれた携帯電話が鳴り響いた。反射的手に取って耳に当て、(あっ・・・でも、これ私の電話じゃない・・・)と思い当たったところで
『私です。テオドアです。』という声が耳に飛び込んできた。
「テオ?」
『大変驚かれていることと思いますが・・・。』
「驚いてるよー。これどういうこと?」
私は情けない声を上げた。
『どうやら事故の影響で歪みが生じたらしく、こちらからお帰りになる際に、他の方の体に戻ってしまったようでして・・・。ご迷惑をおかけして大変申し訳ありません。現在、なんとか復旧のため努力しているところです。ご不便かと思いますが、今しばらくお待ちください。』
原因はベルベットルームの事故ということで間違いないらしい。そしてなんだかわからないが、その何かが直れば、元の体に戻ることができるようだ。
状況が見えてきて、少し気持ちが落ち着いてきた。解決する問題なら、そう慌てる必要はない。冷静になると同時にいろいろなことに頭が回り出した。
「事故は大丈夫なの? 怪我してない? イゴールさんも・・・。」
『ご心配、ありがとうございます。とりあえず、こちらは皆大丈夫です。』
ベルベットルームの住人たちにも問題はないらしい。
「いったい何があったの。」
私は改めて尋ねてみた。
『その・・・ちょっと私の姉がハメを外して・・・あ痛!』
テオドアが話の途中で悲鳴を上げた。
『その・・・姉が粗相を・・・痛!・
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ