第七幕その四
[8]前話 [2]次話
「特に走る時はね」
「スピードが落ちますね」
「うん、けれどだね」
「それを置いても」
それでもというのです。
「どうも」
「そうだね、じゃあね」
「それならですね」
「これは解決案はね」
どうもと言う先生でした。
「今ここではね」
「わからないですか」
「うん、だからね」
それでというのです。
「実際に見せてもらえるかな」
「部活の状況を」
「そうさせてくれるかな」
「お願いします」
これがホフマン君の返事でした。
「それじゃあ」
「では早速ね」
「今からですか」
「部活はもう終わったかな」
「今休憩中です」
「そうなんだ、じゃあね」
それならとです、先生はホフマン君に笑顔で言いました。そうしてすぐに動物の皆も連れて高等部の乗馬部に行きました。
そこでは皆確かに休憩中でした、物陰の中で涼みながらお水やお茶を飲んでいる子もいます。中には見事な金髪で馬達にニュージーランド訛りの英語で笑顔で話しかけている上品な感じの女の子もいます。
その部活の状況を見て先生はホフマン君に言いました。
「馬が太っているね」
「太ってますか」
「どの馬も前に見た時より少しね」
こう言うのでした。
「どうもね」
「ひょっとして」
「そう、その太った分がね」
「スピードが出なかった原因ですか」
「そう思うよ」
ホフマン君に穏やかな声でお話します。
「僕はね」
「かなり走らせてますけれど」
「それでもね」
「食べ過ぎですか」
「そうだろうね」
これが先生の見立てでした。
「これは」
「そういえば最近」
「馬達が食べていると言ったね」
「はい、頑張ってもらう為に」
「それでどうもね」
「皆食べ過ぎてですか」
「太ったんだよ、ただね」
先生は少し考える顔でこんなことも言いました。
「何故そうなったか」
「そのことは、ですか」
「あれだね、今年の夏はもう涼しくなりだしていて」
まずはこのことからお話します。
「そして神戸は元々涼しいね」
「そうした街ですね、日本の中では」
「それでだよ、日本の言葉であるね」
ここで先生はにこりと笑って言うのでした。
「天高く馬肥える秋ってね」
「もう秋ですか」
「まだ暦では夏だけれど」
それでもというのです。
「秋が見えてきたからね」
「馬達も食べて」
「少し太ったんだ」
「そうでしたか」
「君達も最近涼しくなったと思うね」
「一時に比べればそうですね」
そう言われるとです、ホフマン君も実感しました。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ