"撃槍 ガングニール"
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ファントムは顔を歪めた。
その光景は、ウィザードからも確認できた。
巨大な拳は、そのまま渦へ取り込まれ、響へ反逆する矛と化す。
だが、その前に、やがて渦そのものが荒波を立てていく。やがて耐えられなくなった渦は、空間ごと消滅していったのだった。
「バカなああああああああああああああ?」
盾を失ったファントムを響から守るものはもうない。
そのまま白と黄の鋼鉄は、ファントムを圧し潰し、爆散___はさせなかった。
あくまで尻餅をつかせるだけで、響はそれ以上進めなかった。
「な……なぜ?」
「貴方たちのことはよくわかりません。でも、私たちには、語り合う言葉がある。きっと、分かり合えるよ!」
「ふざけるのも大概にしてください。我々ファントムと人間は、決して分かり合えない。絶望を糧とするファントムと、希望を胸にする人間が、ともに生きる術などないのです」
「だとしても! それで諦めたら、きっと後悔する! 私たちの手は、傷つけることの他にも、繋ぐことだってできるはずだよ!」
響の言葉に、ウィザードは静かに呟いた。
「ファントムとの和解か……考えたこともなかったな……」
ウィザードは、無意識に指輪を見下ろす。赤いルビーの指輪。人々を守ってきたその指輪がもつ、ファントムにとっての絶望の象徴の面など、思いもしなかった。
だがファントムは、首を振って吐き捨てる。
「何て甘い! そんな絵空事など、聞く必要などありません!」
手から放たれた光弾が、響を突き飛ばす。
「絶望により、ファントムを増やす! 我々の目的は他にありません! それを邪魔するものは……」
突如。ファントムの言葉は消えた。何があったのかと、ウィザードと響は彼へ視線を凝らした。
やがてファントムは、胸元から突き出ている銀の刃に驚愕する。
「……こ……れ……は___
その答えを、ファントム、ベルゼバブが知ることはなかった。
刃からファントムの体へ走る、黒い文字列。それがファントムの体を、首を絞めつけたとき、その眼から光が消えた。
爆発ではない、ファントムの死。ウィザードも初めて見るそれは、灰化による消滅だった。
十秒にも満たない消滅。そして、ファントムを背後から突き刺した人物が、その姿を見せる。
「……なるほど」
可奈美と同じく、日本刀を携えた女性。
黒い服と黒く長い髪。血のように深紅の眼差しと、それに込められた殺意が特徴だった。
彼女は日本刀を降ろし、ウィザードと響へ視線を当てた。
「この気配は……マスターと、サーヴァント……」
彼女は静かに呟いた。
その瞬間、ウィザードの体に電撃が走る。
マスター。普通の人が容易くは発言しないその言葉に、彼女が聖杯戦
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