第33節「喪失までのカウントダウン」
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ぐに見つめていた。
「やらなきゃならないこと……?」
「このギアが放つ輝きはね、新しい世界を照らし出すんだって……。そこには争いもなく、誰もが穏やかに笑って暮らせる世界なんだよ」
「争いのない、世界──」
「わたしは響にも、翔くんにも戦って欲しくない。だから、二人が戦わなくていい世界を作るの」
すると響は周りを見回しながらこう言った。
「だけど未来……こんなやり方で作った世界は、あったかいのかな?」
「……」
視界に広がる一面の青には、黒い煙が幾つも立ち上っている。
この戦いで犠牲になった人達だ。
「わたしが一番好きな世界は、未来が傍に居てくれるあったかい陽だまりなんだ」
「でも、響が戦わなくていい世界だよ?」
「たとえ未来と戦ってでも……そんなことさせない……ッ!」
こうなったら響は聞いてくれない。
でも、翔くんなら……。
一縷の望みをかけて、翔くんに呼びかける。
「翔くんなら、分かってくれるよね?」
「……確かに、俺だって響には戦って欲しくない。姉さんや純、雪音、叔父さん達だってそうだ。普通の暮らしの中で、平和な日常を送ってもらいたい」
「だったら……」
「だけどな小日向……そんな世界は、自分の手で掴まなくちゃ意味が無いんだ。与えられた平和、一方的な安寧を享受するなど、俺には出来ないッ! ましてや力を以ての支配による平和を騙る者達に与えられる仮初めの平穏なんて、たとえ神が許しても俺が許さんッ!」
どうして? どうして翔くんまでそんなこと言うの?
「──わたしは響を戦わせたくないの」
「ありがとう……でもわたし、戦うよ」
「響が戦うなら、俺も戦おう。小日向……お前を取り戻すために」
そう言って二人は、それぞれの聖詠を口ずさんだ。
「──Balwisyall Nescell gungnir tron──」
「──Toryufrce Ikuyumiya haiya tron──」
どうして? わたしは、二人の為に戦っているんだよ?
どうして止めるの? どうして邪魔するの?
立ち塞がるなら、たとえ響と翔くんが相手だって……わたしは戦うんだ……。
だってそれが──
『響ちゃん、並びに翔くん、対話フェイズBへとシフトッ!』
『カウントダウン、開始しますッ!』
ギアを纏うと同時に始まるカウントダウン。
それと共に、未来への想いが新たな胸の歌を呼び起こす。
歌の名は虹の花。発令所で聴いた未来の歌から感じた、未来の寂しい気持ち。
あの唄に対するわたしからの答え。今の未来へと向けるメッセージ。
翔くんが奏でてくれる旋律と共に届けッ! “Rainbow flower”ッ!
「幾億の歴史を超えて この
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