第33節「喪失までのカウントダウン」
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「あのエネルギー波を利用して未来くんのギアを解除する……だと?」
響の突拍子もない提案に、弦十郎は度肝を抜かれた。
「私がやりますッ! やってみせますッ!」
「だが、君の体は──」
「翼さんもクリスちゃんも純くんも戦ってる今、動けるのはわたしと翔くんだけですッ! 死んでも未来を連れて帰りますッ!」
「死ぬのは許さんッ!!」
「じゃあ、死んでも生きて、帰って来ますッ! それは──絶対に絶対ですッ!」
「叔父さん、俺からも頼むッ! この方法なら、俺と響の体内に侵食した聖遺物の欠片も取り除けるかもしれないッ! だから行かせてくれッ!」
言っていることは無茶苦茶だが、確信はあると言い張る響。
更には翔にまで頭を下げられ、弦十郎は一瞬悩んだ。
だが……。
「過去のデータと、現在の融合深度から計測すると、響ちゃんと翔くんの活動限界は2分40秒になります!」
「たとえ微力でも、私たちが二人を支えることが出来れば、きっと──」
「本当なら私から提案するつもりだったんだけど……響ちゃんと翔くんがこう言ってるんだもの。あとは弦十郎くんの判断次第よ?」
既に作戦開始へ向け、藤尭は活動限界時間を割り出し、友里はオペレーションの準備を始めていた。
了子までもが提案するつもりでいたとあれば、もはや四の五の言っていられない。
弦十郎は子供達の命を預かる者として腹を括る覚悟を決めた。
「オーバーヒートまでの時間は、ごく限られている。勝算はあるのかッ!?」
「「思いつきを数字で語れるものかよッ!!」」
「ぬ……ッ!」
「へへ……」
「ふ……ッ」
響と翔の返しに、了子は思わず笑った。
「弟子は師匠に似るって言うけど、本当に弦十郎くんそっくりね」
「やれやれ……。弟子のふり見て、と言うべきか……」
弦十郎は苦笑いしつつも、これから親友の奪還に文字通り命をかける弟子達を見て、表情を引き締めた。
ff
呼んでいる……このギアが、わたしにやるべき事を訴えかけている。
行かなきゃ……水平線の彼方に。照らさなきゃ……新しい世界を。
わたしが響を守らなきゃ……響と翔くんが戦わなくてもいい、平和な世界を実現しなくちゃ……。
──ギアの示す方向へと移動していたわたしは、足を止める。
そうだよね……やっぱり二人は、わたしを追いかけてくる……。
二課の潜水艦が、わたしの進路を塞ぐように移動してくる。
そして艦橋の上には、響と、翔くんが並んで立っていた。
「一緒に帰ろう、未来ッ!」
「そうだ小日向ッ! みんな、心配してるぞッ!」
「帰れないよ……だって、わたしにはやらなきゃならないことがあるもの……」
バイザーを開いて、二人の顔を見る。
二人の目は、わたしを真っ直
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