暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第35話:変わる味
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する?」

 奏がこんな事を聞いてくるとは思っていなかったのか、ポカンと口を開けて奏の顔を凝視する颯人。
 対する奏は、後になって恥ずかしくなったのか頬を赤く染めて明後日の方を向き彼に顔が見られないようにした。こんな顔を見られたら絶対揶揄われる。

 だがその心配は無用だった。何故なら颯人も、奏同様赤くなった顔を彼女に見られないようにそっぽを向いていたのだから。

──こう言うところが、堪らないんだよなぁ──

 普段奏を翻弄する側の颯人。時々奏も反撃に出るが、意図的な反撃は彼には通じない。策を弄しても奏は分かり易いからすぐに分かってしまう。意図した反撃が成功するのは、彼女の行動が彼の予想を上回った時だけだ。
 しかしそんな彼も、彼女が無意識に見せる可愛らしい姿にはとことん弱かった。惚れた弱みと言う奴だ。

「────当たり前だろ」

 何とか奏に動揺を悟られることなくそう返した颯人。その答えに奏は笑みと共に小さく息を吐き、残っていたジュースを全部飲み干した。

 先程は何処か苦味を感じたジュースは、今度はいやに甘酸っぱく感じられた。




***




 その頃、街中を屋根伝いに掛ける影があった。
 透とクリスだ。透は既にメイジに変身しており、クリスを横抱きに抱えて警戒に屋根から屋根へと飛び移っている。

「透、まだ完全に治った訳じゃないんだから無茶すんなよ?」

 クリスの言葉に透は小さく頷く。

 イチイバルなりネフシュタンなり使えば彼の手を借りる必要はないのだが、聖遺物由来の力は使うと二課に動きがバレる危険があるので、目的の場所に近付くまではこうして移動する方が安全だった。
 先日の戦いの所為で未だ不調の透ではあったが、クリス1人を抱えて移動するくらいなら変身していればどうという事はない。

「フィーネが言うには、この先に融合症例は居る筈だ。さっさと掻っ攫って帰るぞ」
「…………」
「え? 二課の連中は響って呼んでた? どうでもいいよ、あいつの名前なんて」

 透の訂正に、心底どうでもいいと鼻を鳴らすクリス。彼女の反応に透は小さく溜め息を吐き──────

「ッ!?!?」

 突然足を止めクリスを下ろすと、彼女を庇う様にカリヴァイオリンを構えた。

「な、何だ透ッ!?」

 予想外の行動に戸惑うクリスだったが、彼の行動の意味はすぐに分かった。
 透が見据える方向から、一発の魔法の矢が飛んできたのだ。透はそれをカリヴァイオリンで苦も無く叩き落す。

「こいつは────!?」

 今の攻撃でクリスは襲撃者が誰なのか分かり、苦虫を噛み潰したような顔になった。

 決して来ないとは思っていなかった。存在が明るみになった以上、そして奴らが彼を探して
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