暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第35話:変わる味
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見た。フィーネはサングラスをかけてはいたが、冷たい視線を向けている事は2人とも察することは出来た。

 抱き合っているところを見られるのは恥ずかしかったし、それ以上に何だか申し訳ない気になったので透は慌ててクリスから半歩離れた。
 一方のクリスは、少し不満そうだったがその気持ちをそれ以上表に出すことなくフィーネの方に体を向けた。

「──んだよ?」
「悠長にしてて良いの? 透の命が狙われるかもしれないのに?」
「言われなくても分かってる!!」

 挑発する様なフィーネの言葉に、クリスはソロモンの杖を潰さんばかりに握り締める。

「力を持つ奴、あたしから透を奪おうとする奴、どいつもこいつも全部ぶちのめしてくれる!」

 啖呵を切るとソロモンの杖を拾い、そのまま勢いに任せる様にその場を立ち去るクリス。透はフィーネに軽く頭を下げてからクリスの後に続いた。

 去って行く2人の後姿を、フィーネはサングラスの奥からジッと見つめていた。




***




 その頃、自衛隊病院に奏と響が翼の見舞いに来ていた。
 本当は颯人も居たのだが、室内の様子を一目見て自分は退散した方が良いと判断した為、この場には居ない。

 と言うのも、翼の病室はそれはもう凄まじい散らかりっぷりだったのである。ゴミも衣服も散乱し放題。部屋に3人が来た時翼は室内に居なかった為、何も知らない響は翼が何者かに誘拐されたと勘違いして大いに慌てた程だ。
 まぁ奏はそうなる事が分かっていて、敢えて黙っていた訳だが。

「何か……意外です。翼さんって、何でも完璧にこなすイメージがありましたから」

 恐らくそれは響だけでなく、歌姫としての翼しか知らない者の共通認識だろう。凛とした佇まいからそんな印象を持たれがちな翼だが、現実はこうだ。

 そんな響の感想に、翼は自嘲気味に呟いた。

「私は……戦う事しか知らないのよ」

 単純に片付けが苦手と言う以上の、色々なものが含まれた言葉を吐き出す翼。響は彼女に心配そうな顔を向けるが、奏は違った。彼女は翼の生い立ちとかそう言うのを完全に無視して、純粋に『駄目な部分』として片付けが出来ない事を指摘した。

「翼は昔からこれでねぇ。響は知らなかっただろうけど、実は響が来てからも定期的にアタシや緒川さんが翼の部屋の片付けやってたんだよ」
「えぇっ!? 奏さんはともかく、緒川さんにまでッ!? 男の人ですよッ!?」
「うぐっ!? わ、私だって時々は自分でやるわよ」
「でもその度に逆に状況悪化させるんだよね?」

 何とか自己弁護しようとした翼だったが、彼女のプライベートを熟知している奏が居る為それは無意味だった。

 幸いなのは、全てを察した颯人が自発的に退散してくれた事だろう。それ
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