怪盗乱麻、リゾートの闇を断つ
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会えなかった。ラティアスも昔のキュービの思い出を誰にも見せられなかったはず。それにわたしも……自分に出来ないクルルクの真似を続けてたと思うんだ」
シルヴァディも、ボールから出て鳥のような爪に獣のような牙を使って一緒にチュニンに応戦してくれている。これも、リゾートに来る前だったらあり得なかったことだ。
「どんな理由があっても、逃げ出したくなるようなことがあっても、今のわたしは怪盗として宝を奪う直前まで来てる。八百長なんかじゃない。本気で私をたたきのめすつもりのチュニンと、みんなの力を借りてこうしてお客さんの前で戦えてる」
……勿論、チュニンにとっては迷惑極まりないだろうしキュービにとってもそうなんだろうけど。それでも、わたしは怪盗として自分がどうありたいかを貫いたから今がある。
「だから……絶対、このバトルは勝つよ! レイ、『岩石封じ』!!」
発射される岩が、鎧ではなくチュニンの足下を正確に狙い撃つ。相手の動きを封じて素早さを抑える一撃は確かに彼女の足を鈍らせた。
「シルヴァディ! このメモリを受け取って!!」
フェアリータイプのARメモリを、シルヴァディの背に打ち込む。
彼女を護るジャラランガの鎧は固い。だけど格闘・ドラゴンのタイプを持つのなら、フェアリータイプの一撃は通るはず。
ウルトラビーストが放った力を受けたシルヴァディはやっぱり少し苛立ったように地面を蹴る。
……それでも。一瞬、『マルチアタック』を仕掛ける前に向けられた一瞥には、わたしへの怒りではなく。信用があったと思う。
「あああああああああっ!! だめ、キュービを害するものは全て潰さなくては……!!」
【鱗、破壊を確認しました! 決めるなら今です!】
「了解。みんな、これで決まりだよ!!」
スターミーの念力、ハッサムの怪力鋏、グソクムシャの突撃、ポリゴンZの破壊光線。──そして、最後にツンデツンデのラスターカノンが、鎧を喪ったチュニンの体に直撃する。吹き飛び、彼女の心と体を真っ黒に染める影が払われていく。
やり過ぎて命を奪う心配はない。チュニンを覆う影、マーシャドーの力が消えればラティアスによるリゾートの加護は復活する。ラティアスは、わたしの味方でありリゾートのみんなが大好きだから。チュニンのことも絶対護ってくれる。
「……『緋蒼の石』は、怪盗乱麻アッシュ・グラディウスが確かに頂いたわ!」
気を失ったチュニンの懐から宝石を取り、周りのお客さんに向けて宣言する。お客さんたちは、安心したり純粋に目の前の勝負を楽しんでいたりチュニンを心配したり──アローラでの怪盗劇と同じように楽しんでくれたみたい。
「……あなたとの決着は、またいつかつけましょう」
彼女にとっては怪盗との勝負はごっこ遊び
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