絶対的な責任
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<浅瀬の祠>
長年、海中に沈んでいた祠は辺り一面水浸し。
そんな空間の中央に、奉られるかの様に台の上へ置いてある最後の鍵。
「これが『最後の鍵』かぁ………」
リュカが徐に手に取り、頭上へ翳し眺めている。
すると奥から1体のガイコツが現れた!
アルル達は即座に身構える………が、
「何か用ッスか?」
リュカが振り返り、緊張感無くガイコツへ話しかける。
「………何で驚かないの!?」
ガイコツなので表情は分からないが、リュカの反応に驚いている。
「何でって…此処に入った時から、居るの見えてたし…」
「いやいやいや!でも普通は驚くでしょ!?だってガイコツが動いたんだよ!?」
納得のいかないガイコツは、驚かないリュカに食って掛かる。
「う〜ん…でも『腐った死体』とか、中身が空の『彷徨う鎧』とか、そんなのも居るし…ガイコツが動いたって…ねぇ?」
「ねぇ…って言われても……じゃぁさ、モンスターと思って見構えたりしないの?」
最初はアルル達にとって、恐ろしいガイコツに見えていたが、段々コミカルな愛らしい存在に見えてきたガイコツ。
「モンスターってさ、敵意があるから……アンタには敵意が無いし…」
「敵意って………何年前から此処で、みんなを驚かせるのを楽しみにしてたと思ってるんだよ!」
ガックリ項垂れるガイコツは、とっても可愛らしい。
「ごめんねぇ。台無しにしちゃったみたいだね!次の機会に頑張ってよ!」
「次なんかねぇーよ!最後の鍵を持って行ったら、こんな所に来る奴なんか居るわけないだろ!」
「そっかー…ごめんねぇ〜」
ティミーなどはガイコツに近親感を持っている様だ。
「もういい…俺は役目を果たして、成仏するよ…」
「役目!?一体それは何ですか?」
疲れ切ったガイコツが、やっと本題へ入りかけた為、アルルが慌てて食いついた。
「え?あ、あぁ………ゴホン!では言うぞ!…その鍵は、世界に存在する全ての扉を開く事が出来る唯一の鍵!悪しき事に使わぬよう、心清き者が責任を持って所持する様心がけよ!」
「「「…………………………」」」
皆が静まり、ガイコツの行動を注視する。
「…………………………あの…以上ですが……何か?」
「何だよ!?それだけなのかよ!それだけの為に、長い年月こんな所に居たのかよ!?」
あまりの内容に、リュカが思わず文句を言う!
「そ、それだけって……重要な事だろう!その鍵があれば、お城の宝庫物庫からだって盗めるんだぞ!悪い事に使おうと思えば、幾らでも悪い事が出来るんだ!」
「あー、悪い悪い!その通りだね…大丈夫!絶対そんな事には使わないし、使わせないよ!だから安心して成仏してよ」
「うむ…頼んだぞ…」
そして役目(?)を終えたガイコツは、その場に崩れ去った…渋々。
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