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戦国異伝供書
第九十話 尼子家の謀その八

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「どうか」
「そちらはですか」
「おそらく使われるが」
「それでもですな」
「それは不得手じゃ」
「では」
「衝きどころは多い」
 こう言うのだった。
「だからだ」
「この度は、ですな」
「そうじゃ」 
 まさにというのだ。
「だからな」
「この度は、ですな」
「大内殿ではなく陶殿を衝く」
「そうして勝ちますか」
「そうする、ただ大内殿も陶殿も討てぬ」
 これは無理だとだ、元就は言い切った。
「やはりな」
「そしてですな」
「討ってもならぬ」
 こうも言うのだった。
「お二人共な」
「お二人を討つと大内家はかなり弱まりますな」
「そうじゃ、そうなれば得をするのは誰じゃ」
 元就は志道に問うた。
「それは」
「尼子家です」
 志道は元就に一言で答えた。
「あの家です」
「大内家と山陽、山陰の覇を争うな」
「そうなりますな」
「大内家がここで弱まってな」
「尼子家はどうなるか」
「そこを衝き勢力を大きく伸ばしな」
 大内家という敵が弱まりその分自由に動ける様になってというのだ、元就は頭の中に西国の地図を置きつつ話していく。
「手がつけられぬ様になる」
「そうならぬ為に」
「大内家には勝ってもな」
「勝ち過ぎず」
「大内殿も陶殿もですな」
 二人共というのだ。
「お命は狙わぬ」
「勝ってもそれは程々でな」
「大内家には退いてもらう」
「それで終わる」
 その様にするというのだ。
「その様にする」
「それでは」
「戦の用意をしていてよかった」
 元就はこうも言った。
「では安芸の国人達に声をかけてな」
「共に向かいますか」
「その様にする、ここでは尼子家に近い国人達にも声をかける」
「今のところは、ですか」
「尼子家とはっきり対してはおらんからな」
「だから共に戦えますな」
「尼子家が攻めてきた時は敵になるが」
 それでもというのだ。
「今はそうではない」
「亀井殿の策を破り逆にや返しただけで」
「それはしたが」
 それでもというのだ。
「しかしじゃ」
「尼子家自体とははっきり対してはいない」
「だからな」
「尼子家に近い国人達にもな」
「声をかけてですな」
「共に戦う」
 大内家と、というのだ。
「よいな」
「さすれば」
「しかしここで大内家の大殿とな」
 義隆の父である義興と、というのだ。
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