暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
加速世界の中で
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
の為なら、君はどれだけを犠牲にできる?」
「そんなの……選べないよ!」
「そう。結局君のひよりへの気持ちは、それだけなんだね」
「姫和ちゃんは……姫和ちゃんは……!」

 可奈美の剣が、どんどん鈍っていく。その中で、可奈美の脳裏は、戦いのこと以外ばかりを考えていた。



『これが私の真の一つの太刀だ!』
『見事だ』
『このまま私と共に隠世の彼方へ!』
『だめ___届かない___ダメ?』
 手が____届かなかった____半分持つって言ったのに____結局全部___



「違う!」

 自身に発破をかけ、可奈美は刀の力を上げた。

「私は、助けたい! 皆を……全員!」
「でも、そのためにひよりを犠牲にするの?」
「しない! 私は、何年かかってもどれだけ苦労をしたとしても、絶対に姫和ちゃんを助ける! でも、それは聖杯に頼らない、別の方法で!」

 タキオン粒子が充満する可奈美とダークカブトの世界は、光の速さの世界。その中でさえ、可奈美はさらに速度を上げる。
 それは、先ほどまで優位だったダークカブトの速度すらも上回っていく。

「でも、それでできるの? ひよりは……きっと零れるよ?」
「それでもあきらめない! できるかできないかは別だよ!」

 可奈美の刃が、とうとうダークカブトの体に届いた。
 ダークカブトの黒い鎧を斬り裂き、その姿を内陸の方角へ飛ばす。

「この先に何が待っているかなんて分からない。でも、ここで流した涙を笑って話せるように! そのために私は、姫和ちゃんを助ける方法を探し続ける!」
「……そのせいで、君がどうなってもいいの?」
「うん。命……半分くらいは惜しくないよ」
「そこは全部じゃないんだね」

 少し、ダークカブトの顔が下に動いた。笑ったのかどうか。マスクの下など、可奈美には知る由もなかった。

『3』
「ライダーキック」
『ライダーキック』

 ハルトを倒した技。カブトムシから出たエネルギーが頭上の角を伝い、彼の右足に降りていく。
 ダークカブトは、そのまま物言わずに可奈美を見返していた。
 可奈美は静かに頷く。両足を肩幅に広げ、千鳥を降ろす。

 全身に、疲れが出ている。加速空間での活動もそろそろ限界だと、可奈美も理解していた。
 だから。

「この一太刀で決める!」

 駆け出した可奈美。それに対し、ダークカブトも動き出す。
 そして。

迅位斬(じんいざん)!」

 迅位第四段階と呼ばれる速度。それは、ダークカブトの回し蹴りを掻い潜り、そのままダークカブトの体を斬り裂いた。

「ぐぁっ……!」

 ダークカブトの悲鳴。大きな爆発が鼓膜に届いた。
 同時に伝わる波の音。迅位の速度は、終わりを迎えたの
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ