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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
どうやってあたしは、生きていくか
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蹴飛ばしたのだが

「ブッ飛べクソ野郎!!」

サッカーボールを蹴るように、全力の蹴りを彼の脇腹におみまいした。
するとどうだろうか。

「え…?」

あたしの蹴りを食らった男は文字通り吹き飛んだのだ。
空中へと投げ出され、さらにはその勢いは弱まることなく、

「ぐぎゃあ!!」

ビルの壁に叩きつけられ、磔にされたかのようになってしまった。
いや、確かにブッ飛べとは言ったがあれはあくまで例えであって…。

「ば、バケモンだ!!」
「逃げろォ!殺される!!」

他の仲間達はあたしのその一部始終を見て完全にビビり、慌てふためきながら逃げていく。

「…。」

ここであたしは、物陰からひっそりと顔を覗かせる香子と目があった。
まさか…。

「…!」

ドヤ顔でグッと親指を立てる香子。
そう、つまりそういうことね。
じゃあちょっとやってみたいことがある。

「二度と襲えないようにしてやる。」

手のひらサイズの石を手に取り、投球のフォームをとる。
片足を高く上げ、力を込めて握られた石をブン投げた。

石はカーブし、目標めがけ飛んでいく。
狙いはもちろん、逃げていく追い剥ぎ共。
しかし石は奴らのすぐ後ろに落ちる。
惜しい?違う。狙い通りだ。
落ちた石にはまだ勢いが残っている。
地面にぶつかって跳ね返り、そして…

「うごぉ!?」

追い剥ぎの股にクリーンヒットした。

「お…おごおおおお…!!」

呻き声を上げ、その場にうずくまったまま動かなくなる追い剥ぎのリーダー格らしき男。
それでもう…アレは使い物にならなくなっただろう。
だがそれだけで許すほどあたしは優しくない。
あたしを…そして何よりも香子を襲おうとしたんだ。
その罪は、あまりに重い。

「おまけだ!遠慮しないで全部受け取れェ!!」

いくつかの石をまとめて投げ上げ、蹴り飛ばす。
奴らとの距離は20メートル以上あったものの蹴飛ばした石は全て追い剥ぎの股間に命中。振り返ってくれた分当てやすくなって助かった。

「あ、あいつ…何者なんだ…ァ!?」

股間をおさえてうずくまりながら、一人の追い剥ぎが絞り出すような声で問う。

「あたしィ?あたしが誰か知りたいって!?」

あたし自身を恥ずかしがる必要はない。堂々と名乗らせてもらおう。

「ただのレズだよ!」
「お…お前のようなレズが…いて…たまるか…!」

男は最後にそう言い捨て、あまりの痛さにその意識を手放した。

?

「いやースカッとした!」

追い剥ぎを撃退し、大事なものを使い物にならなくしてやりあたしはものすごく清々しい気分で歩いていた。

「しかし葵様…ものすごい運動神経でしたね。香子、思わず見
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