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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
どうやってあたしは、生きていくか
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も何も…まずは生存者を探そうよ。」

シャワーを浴びた後、テレビをつけてニュースを見てみれば世界は大惨事だった。
ここだけじゃない。至るところで同じようなことが起きていた。

都会は一瞬で瓦礫の山となり、あたしが遭遇したキメラのようなモンスター達に人々は追われ、運が悪ければ死んでいく。
それと、テレビを見ていて気付いたことがあった。

「サーヴァントだ…。」

そう、何人かはあたしと同じようにサーヴァントの召喚に成功し、モンスターと戦っている。
そうして生存者を救い、安全なところへ連れていっているみたいだ。

なのであたしも生存者を探し、彼らを連れて安全な所へ行くことに決めたのだ。

「じゃあ、行こっか。」

社員のロッカーをあさり、たまたま見つけた革ジャンを羽織ってあたしと香子はネットカフェを後にする。

さよならネットカフェ。あたしと、香子のはじめての場所。

?


「びっくりするほど静かだ…。」

かつての面影のない都会。
そこには人影など一切なく、都会特有のせわしなく行き交う人通りや喧騒などそういったものもない。
まるでこの世界で、あたしと香子二人きりになったような気分だ

「ですがお気をつけ下さい葵様。いつ物の怪の類いが襲ってくるか分かりませんので。」
「うん…それもそっか。」

辺りを見渡す。
人のいなくなったビルは、なんだかよくわからない植物が根をはり、前衛的な美術のオブジェと化していた。

鳥のさえずりが聞こえる。
風が吹いて葉が擦れ合う音がする。
なんてのどかなのだろう。
都会だったこの場所は、こんなにも安らかな場所になったのか。

「葵様。」
「どしたの?」
「前を。」

ついうっかり景色に見とれていて気付かなかった。
香子が指差した先にはなんと人が。
身なりはボロボロで、薄汚い笑みを浮かべながらこちらにゆらゆらと歩いてくる。
それに

「ナイフ…?」

その手には、バタフライナイフが握られていた。

「おい嬢ちゃん。巨乳の姉ちゃん連れてどこ行くんだ?」
「俺らも混ぜてくれよぉ?へへへ…。」

おそらくその男の仲間であろう者達がビルの物陰から出てくる。
こいつらはあれだ。

「追い剥ぎ的なやつ?」
「かと…思われます。」

こんな世界になり、弱者はモンスターに屠られる。
だが人間の適応力と言うものはすさまじい。
頭の良いもの、腕っぷしに自信があるものはこうしてこの崩壊した世界に早くも慣れようとしているのだから。
世界は壊れた。よって法律も機能しなくなった。
だから彼らは、奪うことで生きようとしている。

「どいてくんない?あたし達は急いでんだけど。」
「まぁそんな冷たくすんなよ…俺達はただ女の子二人
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