第七話「LARGE再び」
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は残されていない。
――やっぱり、俺にはできないのか?
いつもそうだった。強化人間と気づかぬ前の自分はそうやって実力の限界を感じてはすぐにあきらめてしまった。
今、仮面ライダーとしてでも怪人さえ倒せないままこうして実力が証明されてしまったんだ……
「……」
俯き続ける、そんなラージの姿にむかって……
「――がんばれぇ!」
「!?」
その声のほうへラージは振り向いた。戦闘員にとらわれていた人質の中からそれは聞こえた。
――壮太君!?
いや、あの少年以外にも蓬町の人たちも人質となってこの場に取り残されていたのだ。彼の隣には魚屋の魚路もいる。
「仮面ライダーがんばれぇ!」
恐怖におびえながらも、その少年は大粒の涙で泣きながらもラージに向けて必死に叫んだ。
「――負けるなぁ! あんな怪人、やっつけちゃえぇ!!」
「壮太君……」
その言葉に突き動かされるように、俺は無意識に立ち上がって壮太ほうへ体を向けた。
「でぶっちょだからって負けるなぁ! 弱くたって負けるなぁ!!」
恐ろしい怪人の前だというのに、力いっぱい恐怖に負けじと涙をしながら声援を送ってくれる。
「……そうだ!」
すると、隣に立つ魚路さんは壮太の肩に手を添えて一緒に叫んだ。
「頑張れ! 頑張れ仮面ライダーッ!!」
魚路さんの声がその場に響いた。
「頑張れ! 負けないでくれ!!」
そんな彼の輪髭の頬から一滴の露が流れた。
「そうだ……」
「頑張れ!」
「アンタたちだけが頼りなんだ!」
「頼む、勝ってくれ!」
「お願い、負けないで!」
壮太と魚路の声に突き動かされるように周囲の人々も人質である恐怖を払いのけて必死にラージたちへ「頑張れ!」と何度も繰り返しながら声援を送りだした。
――みんな……
「やかましい虫けら共がぁ!」
そんなカラスロイドは、逃げようともせずにライダー達へ声援を送りつづける人質の人間達にむかって左手を向けて衝撃を撃ち放った。
「やめろっ!」
ラージが彼らの元へ走り出す刹那、
「させないっ……!」
彼らへ襲い来る衝撃をシールドで遮り、自ら盾となったその少女は息を切らしながら片腕を失うという重傷を負った状態にもかかわらず、必死にその体で耐え凌いでいた。
「あ、朱鳥お姉ちゃん!?」
巫女の姿に近い姿をしているも、その顔だけは自分が知る大好きなお姉さんの顔であった。
「させない……もう誰も、傷つけさせはしません!」
そのとき、彼女の背に蝶の翼を思わす触角が頭部から生え、背には翼が生え広がった。
泣きそうな感情を抑え、必死で歯を食いしばり痛みと疲労に耐え続ける朱鳥は震えながらもその瞳をラージに向けて微笑んだ。
「頑張って――!」
「
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