第31節「愛の力」
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スもまた、未来を追って空母から護衛艦へと乗り移った。
見守る翼。その隙を突こうと──
「隙あり──じゃないデスね……」
鎌を振りかざそうとした切歌だったが、翼は一瞬で回り込み、再び切歌の喉元へと刀を迫らせる。
逃げる隙など無い。切歌はそう確信し冷や汗をかいた。
(すまない……雪音、爽々波)
本来動くべきは年長であり、鎮圧に秀でた自分だ。
動けない自分に、そしてこの辛い役目を後輩二人に押し付けてしまう形になってしまったことに、翼は顔を曇らせた。
海上ではクリスの矢を掻い潜って滑空する未来を、純が波に乗って追いかけている。
「イ・イ・子・は・ネンネしていなッ!」
〈BILLION MAIDEN〉
護衛艦の甲板に着陸し、クリスはガトリング砲をブッ放つ。
未来はアームドギアの先端から放つビームで応戦するが、被弾数は徐々に増えていった。
「脳へのダイレクトフィードバックによって、己の意志とは関係なくプログラムされたバトルパターンを実行!さすがは神獣鏡のシンフォギア。それを纏わせる僕のLiNKERも最高だ!」
戦いをモニタリングしながら、ウェルは眼鏡の奥で目をギラつかせながら自賛する。
「それでも……偽りの意志ではあの装者たちには届かない」
「ふん」
「くっ……」
モニターから目を背けるマリア。
しかし、ナスターシャに否定されてなお、ウェルの表情にはどこか含みのある笑みが張り付いていた……。
ff
「イチイバル、圧倒しています!」
「これなら……!」
響はモニターをじっと見つめる。
そこには、攻撃を受ける未来の姿が映し出されている。
(ごめん……ごめんね……)
目を背けそうになる響の頭に、翔の手が置かれる。
「翔くん……」
「見たくなければ目を閉じろ」
翔は目を逸らさずに、モニターを見つめ続ける。
「……ううん。わたしが、一番目を背けちゃいけないから……」
「そうか……」
辛くても、それは自分が手を離した結果なのだから。
だから自分が逃げるわけにはいかない。
かつて翔が逃げなかったように、響は逸らそうとしていた目線をモニターへと戻した。
(くっ……やりづれえッ! 助けるためとは言え、あの子はあたしの恩人だッ!)
海上を移動して接近してくる未来。クリスは護衛艦に着地し、また跳ぶ。
海兵隊は手を出す暇もなく、ただ圧倒され、その戦いぶりに注目していた。
波に乗って未来を追跡していた純は、シールドのブースターで加速して未来を追い越すと、その周囲を回り始める。
(女の子を、ましてや小日向さんを傷つけたくはない……。だが、彼女が取り返しのつかない事をしでかす前に、僕達が止めるんだ
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