第31節「愛の力」
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「──未来ッ!」
響の叫ぶ声が、発令所内に響く。
「まさか──未来くんだとッ!?」
「アウフヴァッヘン波形、照合。神獣鏡ですッ!」
「LiNKERを使ったのかッ!?」
「間違いないわね……。考えうる中でも最悪の展開よ……」
あちらがLiNKERを使用していることは判明済み。
原因を予想するのは簡単だったが、とても喜ばしくはない。
「ッ! ツェルトはッ!?」
翔が思い出した様に叫ぶと、藤尭は間もなくツェルトを発見する。
「アウフヴァッヘン波形、微弱ですが海上にもう一種……エンキドゥですッ!」
「バレたのかッ!? あいつ……」
「すぐに回収しろッ! ノーチラスを浮上させるんだッ!」
仮設本部が海面へと浮上していく。
それから間もなく、海上で気絶していたツェルトは医務室へと運び込まれた。
ff
「神獣鏡をギアとして、人の身に纏わせたのですね……」
「マム! まだ寝てなきゃ!」
病に冒された老体に鞭打ちながら、ナスターシャは車椅子、《Powerful_2》を副操縦席にコネクトする。
以前まで使っていた《Technical_1》はスカイタワーからの脱走の際、鹵獲による技術解析を防ぐ目的で自爆させてしまった。
そのため、出力と引き換えに一部の機能が制限され、ぽかぽか機能もオミットされてしまっている《Powerful_2》では冬場の冷たいのが地味に堪えるのだが、今は寒さ程度に気を取られている場合ではない。
「あれは、封印解除に不可欠なれど、人の心を惑わす力──あなたの差し金ですね、ドクター」
「フン……使い時に使ったまでのことですよ。マリアが連れてきたあの子は、融合症例第1号の級友らしいじゃないですか」
ナスターシャに睨まれながら、ウェルは悪びれもせずにそう言った。
ツェルトが格納庫で見つけてしまったのは、後頭部と背中の一部に端末を接続され、LiNKER漬けにされた未来が入れられたカプセルだったのだ。
「リディアンに通う生徒は、シンフォギアへの適合が認められた装者候補たち……。つまり、あなたのLiNKERによって、あの子は何もわからぬまま、無理やりに……」
「んんんん〜ッ、ちょぉ〜っと違うかなぁー?」
人差し指で額をつつきながら、ウェルはやれやれ、とでもいうかのように肩を竦める。
「LiNKER使って、ほいほいシンフォギアに適合できれば、誰も苦労はしませんよ。装者量産し放題です」
「なら、どうやってあの子を?」
ナスターシャの方を見ながら、目を見開いたウェルは質問への答えをこう語った。
「愛、ですよッ!」
「何故そこで愛ッ!?」
余りにも予想外、かつ突拍子もない回答に困惑するナスターシャ。
対するウェルは絶好調。興奮のあまり、
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