疾走編
第三十一話 帝国領潜入
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リューネブルクの名前が出た途端、シェーンコップだけでなくエリカ以外の皆の視線が鋭くなったからなあ…。
「皆さん、この任務中に使うIDです。まあ、帝国の官憲に目に止まるような事をしなければ使う事もないでしょうが…皆さんは帝国の高等弁務官府所属という事になってますので」
「かぁー!ミヒャエル・ダグラスになってる。いいね、潜入って実感が沸いてきたぜ」
「茶化すなよマイク。…あと、これも渡しておきます。帝国軍の制服です」
皆からオーというざわめきが起きた。まあ、中々お目にかかれるもんじゃないからな。
「着る機会がありますか?これ」
リンツ中尉が制服を手に取りながら疑問を口にした。
「使う使わないの判断は皆さんにお任せします。多分一番怪しまれない格好だと思いますので」
「確かにそうですね、帝国軍の格好ならここフェザーンでも帝国内でも怪しまれない。そもそも目を引くような事をしなければいいだけなのですが。ねえ、ダグラス大尉」
そう言うブルームハルト少尉の目はマイクだけでなくシェーンコップにも注がれている。
「俺はマイクとは違うと言ったろう…ウィンチェスター大尉、他には」
「私からはありません。皆さんも質問がないようなら、説明は以上です。一応ペーパーがありますから、渡しておきます。明日の出発前迄には破棄してください。では、別れ」
皆ため息をつきながらそれぞれの部屋に戻って行く。
「指揮官、って感じでした!惚れ直しちゃう」
「やめてくれ、恥ずかしいよ」
「とてもカッコよかったです」
エリカが抱きついてくる。コーネフ船長は道中俺が女連れなのが気に食わなかったらしく、「女性専用の個室はこちらです、キンスキー家のご令嬢をむさい大部屋になんてとんでもない」なんて言ってエリカだけ特別扱いしてたからな。やっと二人きりになれたのが嬉しかったんだろう…まあ、俺だって嬉しい…なんて思っていると、部屋の入口のドアが鳴った。マイクだった。
「どうだ?似合うか?エリカちゃん、どお?」
「…ああ、似合ってるよ、ミヒャエル」
「とても素敵ですよ、大尉」
「かーっ!ミヒャエルねえ。こそばゆいな」
「似合ってるのはいいんだけどさ。お前、それ着てフェザーンの女の子を口説こうとか思ってないか?」
「やっぱりバレたか?」
「そりゃバレるよ。…シェーンコップ少佐達はともかく、お前はダメだよ」
「え?なんでだよ?」
「なんでってお前…なあエリカ」
「そ、そうですね…はい。大尉、ダメですよ?」
「だからなんでだよ?」
「だって…お前帝国公用語喋れるか?」
「あ」
「士官学校の時も、お前帝国語の試験ダメだっただろ?」
「う…」
「エリカは実家の家業が家業だからな、フェザーンからも客は来るし喋れる。俺も少しは喋れる。エリカにも習ってるからな」
「
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