第8章:拓かれる可能性
第246話「想定を上回れ」
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ん」
「っ……私だけでは、本気を出すまでもなかったという訳ですか」
「十分全力だったわよ。……ここからは、死力を尽くしてくるってだけよ」
イリスの呟きに、祈梨は苦々しく思う。
優奈の言う通り全力であっても、負けるとは思われていなかったからだ。
「『本命は優輝を元に戻す事よ。無理して倒す必要はないわ』」
「『わかりました。……ですが、倒すチャンスがあるならば……』」
「『当然、倒せるなら倒すわよ』」
距離が離れたため、理力による念話に切り替えつつ、戦闘を再開する。
先程相談した通りに祈梨が後衛を務め、優奈が斬り込んだ。
「優輝の時と違って、直接相手しないとダメよ?」
「導王流でしたか……理力を纏えば“闇”すら受け流しますか……!」
導王流で“闇”の攻撃を受け流しつつ、優奈は間合いを詰めていく。
転移も併用すれば、あっと言う間に肉薄出来るのだが、そう上手くはいかない。
「(全方位殲滅攻撃……それだけは躱すか防ぐしかないものね……!)」
受け流されるのなら、それが出来ない規模と質量で攻撃すればいい。
イリスはそれを地で行っていた。
導王流ならば、それでも凌ぐ事は可能だが、これでは間合いを詰められない。
“闇”を防ぐ際に押し流され、距離がリセットされる。
「(転移も妨害済み。祈梨の攻撃も同時に対処しているのね。……倒すのはやっぱりかなり難しいわね……)」
こうなると千日手だ。
相討ちを前提に入れれば、倒せる方法の一つや二つは思いつく。
だけど、ここで優奈自身が倒れればせっかく引き継いだ“可能性”が無駄になる。
そのため、戦闘を長引かせる事しか出来なかった。
「(……頼むわよ。優輝が好きなら、優輝の全てを受け止めなさい……!)」
優輝との戦いに身を投じる司達を尻目に、優奈はイリスの攻撃を捌き続けた。
「……奏、先に聞きたいのだけど……貴女、今どこまで戦えるの?」
障壁の外に出た椿は、奏に声を掛ける。
今の奏は、ミエラの分身を肉体としている。
それによる影響がないのか、椿は気にしているのだ。
「不調の類はないわ。……むしろ、ほとんどのスペックが上がっているわ」
「……不都合がないならいいわ」
祈梨とイリスの攻撃の余波を避けつつ、司達は優輝を視界に入れる。
そこには、未だに互角に渡り合うミエラとルフィナがいた。
「……なるほど、優奈の言う通り、立ち回りに気を付ければあんな正攻法でも戦い続けるだけなら可能なのね」
ミエラとルフィナの立ち回りは、それこそ前衛と後衛の基本形だ。
ミエラが攻撃を引き付け、そのミエラを支援するよう
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