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夢幻水滸伝
第百三十六話 二度目の勝利その一

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               第百三十六話  二度目の勝利
 幸田はまさに抜刀突撃、全てを決するその時が来たと見た。それで即座に貝殻から綾乃に強い声で告げた。
「突撃の時だってな」
「今がやね」
「思うけれどどうだい?」
「そやね、今ここで突撃して」
 綾乃は戦局全体を大蛇の背から見下ろして答えた。
「決めるべきやね」
「そうだろ、それじゃあな」
「全軍抜刀突撃や」
 棟梁である綾乃も言った。
「そうしよな」
「よし、それじゃあな」
「うちもな」
 綾乃自身もと言うのだった。
「上から総攻撃仕掛けるわ」
「これまで以上にだよな」
「うちも術ありったけ放って」
 気力の続く限りというのだ。
「そして大蛇もな」
「八つの頭全部使ってか」
「攻めるわ」
 これまでは頭を休まることもあったがというのだ。
「そうするわ」
「そうか、それじゃあな」
「仕掛けよな」
「ああ、決めるぜ」
 幸田はこう言ってだった。
 自身の神具である虎徹を抜いた、そうしてだった。
 自ら先頭に立ち麻友の援護を受けつつ兵達を率いて抜刀突撃に入った、そうして中国軍に突っ込み。
 切って切って切りまくった、そうしつつ兵達に言った。
「ここで決めるんでい」
「その心意気で、ですね」
「攻めますね」
「今は」
「ああ、そうするからな」 
 だからだというのだ。
「ここはな」
「こうしてですね」
「今からですね」
「攻めてですね」
「そのうえで」
「勝ちを掴むぜ」
 自分達の手でとだ、こう言ってだった。
 幸田は敵を攻めていった、中国軍はここで遂に崩れだした。それは陸だけでなく空も海も同じであった。
 吉川は砲撃と術による攻撃を行いつつ艦橋の将兵達に告げた。
「このまま砲撃を行っていきだ」
「勝利を決定的なものにする」
「そうしますね」
「攻撃を続け」
「攻撃の手を休めるな」
 それは決してというのだ。
「いいな」
「はい、最後までですね」
「戦闘が終了するまで」
「その時まで」
「そうだ、攻撃を続ける」
 こう言って実際にだった。
 吉川は攻撃を続けさせた、その目の前で中国軍の戦艦が撃沈されたのを見た。艦から乗員達が退艦していくが。
 それを見てだった、吉川は将兵達に告げた。
「わかっているな」
「はい、艦を沈めはしても」
「退艦する乗員達はですね」
「攻撃しないですね」
「そうだ、その余力があればな」
 それならばとだ、吉川は将兵達に話した。
「敵艦を少しでもだ」
「沈めるべきですね」
「戦闘出来なくなった者を攻撃するより」
「そちらが先ですね」
「そうだ、戦えなくなった者を攻撃するなぞな」
 吉川は冷静な声で述べた。
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