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戦国異伝供書
第九十話 尼子家の謀その一

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                第九十話  尼子家の謀
 元就は毛利家の主となることが決まり後はそのことを家中に告げるだけとなった、だがここで志道が彼に秘かに言ってきた。
「どうもです」
「尼子家か」
「ご存知でしたか」
「うむ、近頃出雲から安芸に人が多く入っておる」
「旅芸人や僧や旅の商人ですが」
「それも忍の者がよく化ける姿であるな」
「はい」
 その通りだとだ、志道も答えた。
「他には山に胡散臭い樵がです」
「おるな」
「見たことのない」
「近くの村の者達の知らぬな」
「猟師等も」
「そうした者達こそな」
 まさにというのだ。
「尼子家の忍の者達でな」
「尼子家はこちらのことを調べ」
「そしてじゃ」
「そのうえで、ですな」
「わしが毛利家の主になるが」
「そこで家中を乱し」
「弱めるつもりじゃ」
 毛利家をというのだ。
「さしあたってはな」
「四郎様に」
「坂家、渡辺家じゃな」
「そうした家を煽りますか」
「そして尼子家でそれで動いておるのは」
 元就はさらに言った。
「亀井殿じゃ」
「尼子家の家老でも特に力があり寺社を治めている」
「あの御仁じゃな」
「そうですか、では」
「四郎も坂家も渡辺家も必要じゃ」 
 毛利家にというのだ。
「だからな」
「今のうちにですか」
「策を仕掛けさせる訳にはいかぬ、むしろな」
「こちらからですか」
「逆にじゃ」
 元就は笑って話した。
「亀井殿を陥れるか、若しくは」
「動けなくする」
「そうする」
「そうしますか」
「家中を乱させはせぬ」 
 断じてとだ、元就は話した。
「何があろうとな」
「では」
「今のうちに仕掛ける、四郎はこの城に呼んでな」
「暫しですな」
「この城に詰めてもらってな」 
 吉田郡山城にというのだ。
「そしてな」
「謀を仕掛けられぬ様にする」
「そして渡辺家、坂家に仕掛ける者達も」
 彼等にしてもというのだ。
「腕利きの者達を置いておいてな」
「近寄ろうものなら」
「切って捨ててな」
 そしてというのだ。
「後は亀井殿に切った者達の首を秘かに送り返してな」
「謀を破ったとですか」
「知らしめる、しかし」
「しかしとは」
「もう一つ仕掛けるか」
 元就は鋭い目になり志道に話した。
「ここは」
「といいますと」
「尼子家に亀井殿の噂を流す」
「噂ですか」
「謀反を企んでいるだの大内家と結びつこうとしておる等な」
「そうした噂をですか」
「流す、これは根拠がなくてもよく」
 それは別にいいというのだ。
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