第10話 束の間の安らぎは振り切らずに満喫する
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四人が存在するという華やかな空間にて、姫子は何となく部屋のテレビを点けたのである。
ちなみに、金持ちの家らしく、そのサイズはプレゼンテーションにでも使えるんじゃないかという大振りなものであった。この事にも千影は目まいを覚えてくる所である。
そんな千影の密かな葛藤をよそにテレビは起動され、地デジ化以降のテレビの仕様上、まず音声から発せられ、続いて遅れて映像が液晶画面に映し出される。
「あ!」
そこで、姫子は思わず声をあげるのであった。
何故なら、そこに映っていたのは、姫子も良く知る顔であったからだ。
間違う筈もないだろう。オレンジ色のツインテールをなびかせ、ゴスロリ衣装に身を包むアイドル・夕陽かぐらの姿がそこにあったからだ。
そして、彼女はテレビ画面越しに元気に歌い、踊り、皆の歓声を浴びていたのだ。
その事から、導き出される結論は一つであろう。
「良かった。かぐらちゃん、無事にアイドル活動に復帰したんだね」
その姫子の弁が全てを物語っていたのであった。
あれから、自分の足が治った事を自覚したかぐらは、その好機を逃すまいと再び芸能界へと舞い戻って行き、そして無事に復活を遂げたという事であるのだった。
こうして大邪衆として自分と関わったかぐらが、元の夢に向かう生活に戻れた事に姫子は安堵すると共に、この事も忘れてはいなかったのだ。
「泉美ちゃん、ありがとうね。これもあなたがあの子を後押ししてくれた事もあると思うから」
それは、かぐらの事後に泉美が彼女に(八雲家のコネを利用して)コンタクトを取った事である。
その際に泉美は彼女に言ったのであった。
──もしかしたら、足の負傷が治ったのは大邪の力によるものかも知れないけど、あなたは足が治った事に変わりは無い、だからそれを利用しない手はないのだ、と。
そして、かぐらはその泉美の言葉が後押しとなってアイドル活動に復帰する心づもりが着いたという事なのであった。
その事に対して泉美はこう言う。
「いいえ、一番彼女に対して頑張ったのは姫子さん、あなたよ。私はただ後押しをしただけの事」
それが自分に出来る事だったから、と泉美はしっかりと自分を見据えながら言った。
そう泉美が振る舞っていると、そこへたまが話し掛けてきたのである。
「泉美、あたいからもありがとうね」
たまがそう言う理由も、かぐらの件と似たような事であった。
たまの事後に泉美は、あなたの命は大邪の力で妖怪化した事で生きながらえる事となったけど、その手に入れた命は大切にしなさい、そう言ったのであった。
そして、たまはその言葉に背中を押され、こうして今を懸命に生きる決心が着いたのだ。
そのような影響を二人に与えた事を再確認した千影と姫子は、そんな泉美と仲間になれた事にとても感謝する所
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