第10話 束の間の安らぎは振り切らずに満喫する
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だ黒が基調の猫耳少女であるのだった。
「う〜ん☆ やっぱりこの姿の方がすっきりするね☆」
そう言いながら、正体を現した『猫妖怪たま』は間延びした掛け声と共に背伸びをして見せた。
そう、たまは普段は人の目に着かないように猫の姿で過ごし、信用出来る者達の前ではこうして本来の姿である人型を取るという生活を稲田邸で行っていたのであった。
その、人型をとったたまの姿を見据えた泉美は、今がこの時だと言わんばかりにアリアに言う。
「アリアさん、早速たまに餌をあげさせて下さい☆」
「猫型の時にお願いします」
だが、その悪しき野望もやんわりとアリアの活躍によって阻止されたのであった。やったね☆
「泉美ちゃん……それはちょっと……」
その新たな友人の暴走に危ないものを感じた姫子はそう指摘するが……。
「餌は餌でしょう? 何か問題でもあるかしら?」
そう泉美はどこぞのウィングな主人公の如く屁理屈を言うのであったが、姫子も負けてはいられない。
「うん。あげるのは同じでも、絵的に全然違うからね!」
これまた正論であった。そこに隙は無かったので、泉美はこの場は引く事にしたのである。
◇ ◇ ◇
その後は、たまに餌を与え──無論、猫型形態で──彼女が可愛らしく食べる様を皆一様に微笑ましく見守って過ごしたのであった。
そして、事務仕事があるからとこの場から去ったアリアを見送った一同は、皆で豪邸の一室にて憩いの時を満喫していたのであった。
そんな環境に当の住人である姫子と、彼女と同じく名家育ちの泉美は平然としていたのであるが、やはり千影はこのような場所は自分には場違いだと何度訪れても痛感する所だった。
「やっぱり、私には刺激が強すぎるわ……」
「千影、気にする事はないよ。あたいもまだ自分には不釣り合いだなって感じているからね」
嘆息気味に言う千影に、この家の新たな家族となったたまも同意するのであった。ちなみに、彼女は今人型を取っているので、その振る舞いは同世代の女の子同士の会話そのものなのだった。
そう切り出したものの、たまはこの場を借りて言わなければならない事を言う。
「でも、あたいにこの家に住まわせる話を切り出してくれた千影に、あたいを受け入れてくれた姫子とその家族には感謝しても感謝しきれない位だよ」
そう、たまが稲田邸の新たな家族になるように手ほどきをしてくれたのは千影であるのだった。
彼女は、以前捨てられていたたまを半ば見捨てる事になった後で内省をしたのである。──自分の家では面倒を見られないのなら、友人にそれを引き受けてもらうという対処をすべきであったと。
その反省を千影は実行に移し、今ではたまは住まう家を手に入れ平穏な毎日をものにする事が出来たという事であった。
そんな見た目は人間の女の子
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