第10話 束の間の安らぎは振り切らずに満喫する
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「初めましてアリアさん。早速ですが、たまと姫子さんに餌をあげていいですか?」
そう泉美はさらりと倫理的に何か問題のある事を口走ったのであった。
「はい、たまの餌ですね? すぐにご用意させて頂きます」
(あ、スルーされた……)
(アリア、グッジョブ♪)
あっさりと自分の野望をかわされてしまった泉美と、自分の付き人の隙の無さに改めて感謝する姫子であった。
姫子は泉美が『こう出る』事は何となく予想出来たのである。あれから和解してからというもの、泉美が自分を見る目が、どこか小動物を愛でるかのような感じになっていたからだ。
無論姫子は自分は泉美のペットになる気は更々無いので、今のアリアの機転は大いに助かる所であるのだった。
そのような泉美の悪しき願いはアリアの活躍により無事に打ち砕かれた所で、本題に入らなければならないだろう。
その事を、当の泉美が口にするのであった。
「アリアさん、たまは無事にやっていますか?」
その問いの真意を知ったアリアは、にっこりと微笑みながら泉美に返す。
「はい、あの子は問題なく飼い猫としてやっていますわ」
「良かったです……」
そう意味ありげなやり取りをする二人であったが、その意味はじきに分かる事となるのだった。
そうして一行はアリアの案内の下、とある一室へとやって来たのである。
と、そこには一匹の愛らしい黒猫がソファーの上に鎮座しており、アリアや姫子や客人達の姿を一瞥すると『にゃー』と可愛らしい声で鳴いたのであった。
その猫を見て千影は確信するのだった。その事を彼女はアリアに聞く。
「アリアさん、この子が『たま』ですよね?」
「ええ、ご名答です」
そんな千影の質問に、アリアはさらりとそう答えて見せたのであった。特に問題はないといった風に。
そして、アリアは千影を始めとした者の疑問に対して代弁するかのように説明を始めるのであった。
「この子は猫の妖怪と言える存在となったのですからね。こうして変化して猫の姿を取るのも容易な事であったそうよ」
その事を一体『誰から』聞いたのかという疑問が沸いてくるが、それに答える代わりにアリアは『たま』に呼び掛けるのであった。
「たま、この方々は周りには他言しはしないでしょうから、『演技』はもういいですよ」
「あ、それは助かるね♪」
アリアのその言葉に答えたのは、他でもなくその『黒猫』自身からであった。
そう、猫でありながら人語を話すという、ファンタジーやメルヘンの産物である行為をこの猫はやってのけたという事である。
そして、そんなファンタジーやメルヘンのような現象はこれで終わりではなかったのであった。突如としてその黒猫を煙とポンというコミカルな音が包んだのである。
その後その場にいたのは、ミニ丈の和服に身を包ん
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