第10話 束の間の安らぎは振り切らずに満喫する
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来た泉美さん、あなたを否定する等という事は決してしませんよ。だから、自分を誇りに思いなさい」
「和希さん……ありがとうございます」
泉美は和希の一言一言に心が救われるのであった。
全く、この人には敵わないと泉美は思う所だ。こんな素晴らしい人のフリをしようとした事を改めて彼女は恐れ多かった事だと実感するのだった。
◇ ◇ ◇
「……と、こういう感じだったわ」
「うん、やっぱり和希さんだね」
「全く……ね」
泉美の話が終わり、皆一様に和希の偉大さを再度確認する所であった。
ともあれ、こうして泉美が和希への報告と協力要請を無事に成功させた事はこれで分かったのである。
話が一段落した姫子は、ふと泉美に対して言うのであった。
「それにしても泉美ちゃん。眼鏡姿のあなたも知的っぽくて格好いいよ♪」
そう、泉美は今までとは違い、その目には眼鏡を掛けているのであった。
それは、彼女が姫子に目が綺麗だからと言われた事に、今までコンプレックスだった翠眼──緑色の瞳──を隠さなくていい自信がついた事にあるのだった。
その為、今までカラーのコンタクトレンズにより視力の補助をしてきた彼女であったが、翠眼を隠す必要がなくなったならと、自分にとってしっくりくる眼鏡へと乗り換えたという事であった。
無論、そう出来たのは姫子の存在なくしてはありえない泉美だったので、彼女は素直な気持ちでこう返した。
「ありがとう姫子さん。そして、それはあなたのお陰よ」
「えへへ♪」
面と向かってお礼を言われると姫子とて満更ではないので、思わずはにかむのであった。
泉美とそのようなやり取りをした姫子は続いて次の話題へと話を進める。
「それじゃあ、みんな。今日私の家に来てね♪」
「ええ」
「お邪魔させてもらうわ」
それは、姫子の自宅の稲田邸へと皆で赴く事への確認であるのだった。
◇ ◇ ◇
そして、今日の学校でのノルマは全て終わり、後は皆で稲田邸へ向かうだけであった。
無論、皆部活やアルバイト等の予定は今日はなく、この日を見計らって姫子は以前から案を錬っていたのである。
その取り決めの下、とうとう三人は姫子の住まう稲田邸へと辿り着くに至っていたのであった。
「やっぱり姫子の家はいつ見ても壮観よね……」
その光景を目の当たりにして、千影は思わず感嘆の声を漏らしてしまうのであった。
それもそうであろう。何せ稲田家はどう控えめな表現をしても『豪邸』と称するしかない程であるのだから。
まず、玄関の中には庭園と呼べるような大きな庭があり、その先に白亜の城と見まごうような邸宅があった。
そして、こういうシチュエーションではお約束の『噴水』まで完備されている状態ときたものなのであった。
千影はそんな姫子の幼な
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