暁 〜小説投稿サイト〜
神機楼戦記オクトメディウム
第9話 八雲の怪:後編
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
た。そして、彼女の放った光弾に射貫かれて水の塊は四散してしまったのだった。
 その要領で姫子は二発、三発と次々と水弾を打ち抜き、ただの水飛沫へと還していったのであった。
 しかも、そんな芸当を彼女は吊り橋に立ったままでやり抜いてしまったのである。この辺り、彼女のバランス感覚が尋常ではない事が窺えるだろう。なのに彼女は運動音痴なのであるが。
「ふぅ……絶景くらい落ち着いて見させて欲しいってものだよね……」
 そう呟きながら、姫子は手に持った銃の銃口を口で吹く仕草をする。この銃から放たれるのはエネルギー弾である為に煙など断じて出はしないのであるが、これは気分の問題である。
 余談であるが『念能力』なる力が統制された世界ではそう言った気持ち、覚悟、制約が力を増すようなシステムが成り立ってはいるのだが、この姫子の場合は完全にただの気分であった。
 まあ、本人が満足ならそれでいいだろう。そして、幸いにも吊り橋ではこれ以上の敵襲は起こらなかったので、難なく姫子はこれを無事にこなす事に成功したのである。
「久しぶりの地面だぜぇ〜☆」
 そうおどけて見せながら、姫子は空中の足場という産物の吊り橋から降りると、再び山中の足場へと戻る事が出来たのであった。そのまま姫子は山中の森の中へと入って行く。
 行ったのであるが、どうやらここは謂わば『第二ステージ』の終着点だったようだ。つまり、姫子の目の前に現れたのは、木々の生い茂る山林の中ではなかったのである。

◇ ◇ ◇

「どうやら今のでステージクリアって感じだったみたいだね♪」
 そう課題達成の喜びを噛み締めようとする姫子であったが、ここで彼女は驚いてしまうのであった。
 何故なら、次に彼女の眼前に飛び込んで来たのは、実に見慣れた風景であったからだ。
 そこは、紛れもなく……。
「あれ? 私、『大神家』に来ちゃったんだ……?」
 そう姫子が言う通り、そこは由緒正しき和の様相であしらわれた荘厳な屋敷たる、現在長男の和希が統率する大神家であるのだった。
 その見慣れた光景に姫子は少し胸の内が軽くなるようであった。今のような異空間において、馴染みのある場所というのは安堵を誘うからである。
 だが、それでも姫子は油断してはいなかったのであった。これも、まだ敵の用意した異空間の一部の可能性もあるからだ。
 故に、気を引き締め直すと姫子であったが、そんな彼女の今の複雑な心境に刺激を与える展開が催されるのであった。
 それは、この場にある人物が現れたからである。そう、大神家において、存在していて当然のその人だ。
「和希……さん?」
 紛れもなく姫子がそう呟いた通り、その人物は大神家を取り仕切る大神和希その人であったのだから。
 そして、姫子の前へと現れた和希は彼女にこう言うのであった。
「姫
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ