第8話 八雲の怪:前編
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嗟に手に持った銃の引き金を引いたのである。
刹那、その鏡は姫子の放ったエネルギーの銃弾に射貫かれ、そして粉々に破片を撒き散らして激しい音と共に砕け散ったのであった。
それと同時に、鏡の中から先程映ったレーザー砲も、ボロボロにされた状態でボトリと地面へと落ちたのである。──つまり、姫子の読みは正しかった事が証明されたという事だ。
「ふう……」
一つの危機を回避して、ここで姫子は一息つくのであった。
だが、これで既にこの空間は、良からぬ事に踏み切るごく一部の人と思いがけない事故さえなければ平和な現実の町中ではない事が証明されているのである。故に、改めて気を抜かずに進む必要がある事を再確認する所である。
そう心に誓いながら歩を進めて行く姫子。そして彼女は文字通り行き止まりにぶち当たってしまったのであった。
そう、ここで道は途切れてしまっていたのであった。
「さて、どうしたものかな……?」
そう思いつつも、姫子は決して諦めてはいなかったのである。それは、この空間が決して脱出不可能な理不尽な代物ではなく、ちゃんと『クリア可能』であるという感覚が、何となくであるが伝わってくるのだから。
運動神経は鈍くとも、そういう勘めいた感覚には鋭いものがある姫子は、迷わずに先へ進む為に必要なものを探りに回るのであった。
するとどうであろう。探し回っていた姫子の視界の中に、ある目に付くものが飛び込んで来たのである。
それは、木の塀の下に開いた穴であるのだった。これを見ながら姫子は思う。昔こういう所に入り込むのが妙なワクワク感があって思い出深いものだと。
そして、自身をその童心に返すという意味でも、姫子は迷わずにその穴の中に入っていったのであった。
途中にて、背丈に不釣り合いな位に育った胸の双丘が些か障害となりはしたが。ある意味この場に千影がいなくて良かっただろう。彼女がいたら血の涙を流して悔しがる事儲け合いであったからだ。
そのような災難を密かに回避した姫子は、そのままその穴の中へと入り込んでいったのであった。──そして、それが単なる不法侵入にはならないだろう事は姫子は予想していたのだ。
そして、その予想は当たる事となる。大きく上を行く感じで。その現実に姫子は思わず気の抜けた声を出してしまうのであった。
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