第8話 八雲の怪:前編
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も今をどうするかという考えを優先する姫子は、くよくよせずに意を決して踏み切る事にしたのであった。
そう思い至った姫子は、いつも肌身離さずに持っている例のアイテムを懐から取り出す。それは、例によって勾玉型の力の根源である。
「頼むよ!」
姫子は言うと、それに籠められた力を解放する。すると、彼女は学生服から青色の袴の巫女装束へとコスチュームチェンジを行うのであった。
こうして『戦闘服』に身を包む事で姫子には気合いが入るのであった。そして、これに着替えた以上、『既に戦いは始まっている』事を頭に焼き付ける。
「それじゃあ、『スタート』しなきゃいけないって事だよね♪」
そう姫子が思わせぶりな事を言うのには理由があった。
それは、気付かぬ内に送り込まれたこの空間。そして今立っている場所の後ろは袋小路となっている事にある。
その事から、姫子は考えたのだ。『敵は自分を異空間のダンジョンに送り込んだ』のだと。つまり、今自分がいるのはダンジョンの出発地点だという事である。
無論、ここは異空間であるから、千影の助けを望む事は出来ないだろう。なので、姫子は一人自分のその足でダンジョンを進む決意をするのであった。
「さて、出発進行だね♪」
そう言う姫子の口ぶりは、敵の手中にあるにも関わらずに軽やかなものであるのだった。
その理由は、彼女は遊園地の迷路やお化け屋敷といったアトラクションの類いが好きだったからであり、今のこの状況はそのようなワクワク感を煽る要素が彼女には感じられるからであった。
こういうのは運動神経は余り使わないので、運動音痴な姫子でも好きなシチュエーションであったりするのであった。
余談だが、一方で姫子は絶叫系のマシンは苦手だったりする。それも彼女の運動神経が優れない事に起因しているのであろう。
ともあれ、こうして姫子の異世界ダンジョン探索は始まったのである。
だが、今の外観の見た目はただ静まりかえっただけの夕刻の住宅街にしか見えない事も、不気味さに拍車を掛けていたのであった。
そして、姫子はそのダンジョンにて歩を進めていったのであった。感覚的には夕方の散歩でしかないのであるが、既に敵との戦いは始まっている為に油断は出来ないのである。
そう姫子が感じながら歩いていると、早速普通の住宅街ではあり得ない現象が起こるのであった。
それは、一見ただの曲がり角にあるミラーであった。だが、姫子は咄嗟に懐に備え付けていた銃を引き抜いたのだ。
その理由は、そのミラーに映るはずのないものが映ったからである。鏡とはただ光を反射するだけだというのに、その鏡には現実の世界には存在していない筈のレーザー砲のような装置が映っていたのだ。
運動神経は鈍くとも、洞察力には優れた姫子は、瞬時にそれが目の錯覚でない事を見抜き、咄
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