第8話 八雲の怪:前編
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。──ちなみにケツの中にションベンはナシだからね?」
「くっ……」
先手を取られた。その事に千影は思わず歯噛みをするのであった。そもそも何を入れるのか大いなる謎であるってものである。
だが、女性の尿意は男性と比べて『アレ』がない為に堪えるのが困難な代物なのである。その事は姫子と同じ女性である千影はよく分かる所であったので、止める理由は無かったのだ。
「姫子、いってらっしゃい。我慢は体に悪いからね」
「ありがとう、千影ちゃん♪」
そう千影に快く送り出されると、姫子は脱兎の如く約束の聖地へと歩を進めていくのであった。
「ふ〜、すっきりした〜☆」
見事に便器に尿を体外に解放するという目的を果たした姫子は、実に清々しい感触を噛み締めながらトイレを後にしたのである。
そして、後は再び千影と合流するだけである。そう思いながら舞い戻るべく歩きだそうとした所で……。
姫子は何者かにその行く手を阻まれ、気付けば彼女は壁際まで追い詰められていたのであった。
その者は恐らく姫子と同級生の女生徒のようだ。髪は水色で、それをツインテールにしており、その先を些か螺旋状にしている、言うなれば『ドリルヘアー風味』。そのような感じであった。
そして、背丈は平均的な女生徒程のものは存在する為に小柄な姫子にはそれだけで威圧的である。
それに加えて、その者の切れ長の瞳と、姫子とタメを張れると思われる程の胸のボリュームもあり、それが威圧効果に拍車を掛けていたのであった。
そんな突如として自分に降り掛かった理不尽な状況に、基本脳天気な姫子も思わずたじろぐ所だった。
だが、幾ら理不尽であろうとも、取り敢えずは冷静に用件を聞かないといけないだろう。そう思いながら姫子はその女生徒に話し掛けるのであった。
「あの……私に何か用ですか?」
そう丁寧に対処する姫子であったが、内心で相手の温和な答えは期待出来てはいなかったようだ。何せ、自分は壁際に追い詰められているのだから。
その答えは無論悪い意味で正解へと結びつくのであった。
「稲田……姫子さん。あなた、千影さんにベタベタしすぎよ……」
やはり攻撃的な発言内容であった。それも、声の奥底から凍えるような響きを醸し出されていて、思わず身の毛のよだつ印象である。
さて、どうしたものかと姫子は思う。これって明らかに『脅迫』の類いであるなと。このまま為すがままにされていては自分の身が危うくなるだろう。
しかし、姫子には『一応』この状況を脱する手立ては持ち合わせていたのであった。だが、それは懐に隠し持った玩具の銃を一気に引き抜いてこの女生徒に発砲して、相手が怯んだ内に逃げるというこの現代では色々と倫理的に問題がある手法であるのだった。
故に、その手段は最後にしようと思っていた姫子は、どうにか温和
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