第7話 千影と決闘士:後編
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掛かってきたのであった。
「これでっ!」
そのまま飛び掛かったたまは、機体の爪で一気に鏡神を切り裂くべく振り翳したのである。一瞬の事であった為に、千影は鏡神の腕に装備された籠手でそれを受け止めるのが精一杯であったのだ。
「くぅっ……!」
千影が呻くその瞬間、爪を突き立てられた籠手から激しい金属音と火花が繰り出されたのである。その事から今巻き起こった衝撃が如何なるものか想像に難くないだろう。
.F だが、千影はそのまま敵にやらせる手は無かったのであった。彼女は瞬時の判断の下、機体の手に力を入れさせると、敵をその勢いで引きはがしたのである。
その反動のまま一旦敵から距離を置こうとする千影の鏡神。しかし、敵はそれを許す程甘くはなかった。
「甘いよ!」
そう言うや否や、たまの駆るマタタビノツワモノは、その獣型の体躯をその場で踏み込む。
そして、再びそれは千影に向かって飛び掛かってきたのであった。猪突猛進な戦法であるが、それだけで効率的に敵へ攻撃を繰り出せるポテンシャルがそこにはあるのだ。
更に、敵の攻撃は先程のように一度きりではなかったのである。右前足の爪、牙、左前足の爪と、獣のボディーを活かした攻撃を次々と繰り出してきたのだ。
「くっ! 姫子だったら『スピード型なのに強い』って言うでしょうね」
何故か身のこなしを重視したキャラクターは、うまく活躍出来ずに強敵の引き立て役になってしまうケースというのが多いのであるが、このたまとマタタビノツワモノは見事にその例外になるのであった。普通にその俊敏な体捌きは強力な武器となって千影を襲っている。
しかし、今この瞬間千影は確信していた──この勝負、自分の勝ちであると。
その想いを胸に、千影は逆転を狙うべく少々強引に敵機を再び引きはがした。
「何度やっても同じ事だよ!」
そうたまは言うのも至極真っ当だろう。一度引きはがされても、再びその身のこなしと自前の刃で敵を翻弄していけばいいだけの事なのであるから。
しかし、勝負の流れはこの一瞬の隙を作る事が出来た千影に舞い込んできたのであった。
そんな最中、彼女は感慨深げに優しい口調でたまに語りかけていた。
「見事だったわ。あなた自身の修練された強さ。そしてこの神機楼捌きも……」
「!?」
たまは目を見開いていた。突然そういう事を言われたのにも、そして……千影の操るヤタノカガミが絵の具を溶かすかのようにその目に見える姿を無数に増やしていった事にも。
「これは一体……!?」
そうなけなしの認識の中で呟くたまであったが、どうやらそれが精一杯であるようであった。──気付けば千影の駆る鏡神がその姿を再び一つにして、自機の目の前に現れていたのだから。
そして、頭に疑問符しか沸いていないたまの為に、千影は種明かしをするのであ
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