第7話 千影と決闘士:後編
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じゃないだろうかと。
だが、それはまた別の話である。今はこの真剣勝負の最後の締めへと意識を向けるだけであるのだ。
「まあ、ツッコミ所は多いけど、それはそれって事で」
「ええ、私としてもそうしてもらえると嬉しいわ」
こうして、二人の意見も問題なく纏まったようであった。そして、それぞれが自分の愛機を呼ぶべく行動を起こす。
まずは、千影が手に持った手鏡を掲げて唱える。
「出でよ、ヤタノカガミ!」
続いて、たまは……手に持った首輪を自身のそのか細い首へときっちりと装備したのである。
(うわ……やっぱり姫子だったら血涙流して喜びそうなシチュエーション……)
その事は一先ず置いておいて、猫らしく首輪をしたたまもその状態で詠唱を行う。
「おいで、『マタタビノツワモノ』!」
.F どうやらそれがたまの搭乗する神機楼の名前であるようであった。そして、後はそれぞれの傍らに現れた機械仕掛けの巨人へと乗り込む事となった。
そして、両者は愛機搭乗の下に見合っていたのであった。そして、千影は呟くように言う。
「それが、あなたの神機楼なのね」
思わず彼女がそう呟てしまうのには理由があったのである。
その理由は、たまが操る神機楼が『人型ではなかった』からなのであった。
そう、彼女の駆る『マタタビノツワモノ』は四足歩行の獣型の機体という事である。
先日姫子達から聞いた、夕陽かぐらの操るイワトノカイヒは自分達と同じ人型であったからだ。故に、このたまの操る機体も人型だと千影は思っていた所であるのだった。
(……先入観は、捨てた方がいいって事ね……)
そのように千影は教訓を得るのだった。戦場で固定のイメージを抱くというのは御法度であろうと。
なので、千影は心機一転して敵に向き合う。
「そういう事だよ。あたいは猫だからね。機体がそれに合わせてくれて猫型になってくれたって事みたいなんだよ♪」
そう少しおどけながらたまは言う。世の中にはこういう都合の良い事もあるのだと思いながら。
.F だが、利用出来るものは利用すべきだろう。なので、たまはこれも千影と存分に戦わせてくれるという運命の気まぐれだと感謝する所であった。
「そう……」
その事に、千影はどこか感慨深さを覚えるのであった。そこに、何者かの見えない意思が働いているかのような錯覚すら覚えてしまうのだから。
そして、たまの機体の色は見事な黒であった。その事から、それは黒猫……いや、機体のフォルムから『黒豹』とすら思わせる力があった。
そして、神機楼に乗った二人は、互いにコックピット越しに相手を見やり、そして互いに出るタイミングを探り合っていた。
そして、最初に動いたのはたまであった。彼女は搭乗機体に、その構造通りの豹としての俊敏さを反映させて千影の鏡神目掛けて飛び
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