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神機楼戦記オクトメディウム
第7話 千影と決闘士:後編
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 そんな仕草に「なにこれかわいい」と思いつつも、千影は口にする。
「姫子の前でこの術の名前唱えたが、『落ちろ蚊トンボ!』みたいだねってネタにされる事儲け合いだからね」
「ぇー……」
 たまはその事情に対して、はっきり言ってコメントに困るしかなかったようであった。
 そりゃあ嫌だろうなと思う所であった。戦いにおいて邪道と思う術だとはいえ、修練によって成し得たものをそんな木星帰りのニュータイプの台詞で茶化されては堪ったものではないだろう。
 たまにそんな露骨に嫌そうな表情をさせてしまった千影は申し訳なく思いながら続ける。
「それはさておき、これでお互いに後が無くなったという事は分かるわね?」
「ええ」
 たまもその事は重々承知であるのだった。たまの方から見れば嗅覚での敵の探知による攻撃が完璧なものではなくなったし、千影の方から見ても身を隠しても意味がない事が証明されているのだから。
 しかし、それでも千影は思う所があり、それを口にする。
「でも、あなたはこれで納得はしていないのでしょう?」
 そう、この勝負の勝敗をないがしろにするのは互いに引け目があるだろうという考えであったのだ。それにはたまも同意の所であった。
「ええ、あなたにはもう恨みはないけど、だからといってこの気持ちは収まりがつかない所だよ」
「いい心掛けね」
 そう千影は本心から言った。自分の気持ちを大切にするのは必要な事だと思っての事である。そして、この後の展開は決まっているのであった。
「『神機楼』で決着を着けましょう」
「奇遇だね。あたいも同じ事を考えていた所だよ♪」
 二人は言い合うと、それぞれの神機楼を呼び出す為の媒体を懐から取り出す。
 千影は勿論、手鏡の形を取ったもの、そしてたまはというと……。
「……首輪?」
 思わず千影は聞いてしまった。そう、たまが取り出したのはペットが逃げないように繋ぎ止める為の定番アイテムたる首輪だからであった。
「おかしい、だってあたい猫だよ?」
「ええ、そうなんだけれどね……」
 至極真っ当なチョイスをしたという自負があるたまが、こうして千影に頭に疑問符を浮かべられたのは心外であったので、少しむっとなって抗議する。
 だが、この後を聞かない方が良かったなと、たまは後々後悔する事になるのだった。
「姫子はこういうの見ると咄嗟に反応するでしょうからね。『ファッキュー』とか『ボンデージマスター』とかね?」
「うわあ……」
.F たまは言葉に詰まってしまった。確かにその人は『本当の意味でも』偉大だけれども、ただ首輪を持ち出しただけで話題にされてしまうのはどうかと思う所であるのだった。
 そして、密かに彼女は思うしかなかった。他人の人間関係をとやかく言うつもりはないけれど、付き合う人というのは少し考えた方がいいん
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