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神機楼戦記オクトメディウム
第6話 千影と決闘士:前編
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めたのであった。
(速い!)
 それが忍である千影に一瞬の内に思わせた結論であった。つまり、彼女にそう言わしめる程の身のこなしをたまは持っていたという事である。
 そして、たまはそのまま攻撃へと転じる。だが、彼女はその手に武器を持っている様子はなかった。
 素手(すてごろ)で殴りに掛かってくる格闘家タイプだというのだろうか? だが、その予想は大きく崩れる事となるのだった。
 たまはその手を振り上げると、彼女の爪が一気に伸び、そのまま即席の武器となったのだ。後はそのまま敵目掛けて振りかざすだけだろう。
「はあっ!」
 そう掛け声を上げて、たまはお手製の武器──爪による攻撃を千影へと繰り出したのであった。
 このままでは千影の柔らかい肉体が傷つけられてしまうだろう。幾ら胸は控えめだろうと、自分のこの体は自慢なので、そう易々と傷物にされる道理はなかったのだ。
 そのような事を一瞬の内に思考した千影は、気付けばその攻撃を迎え入れていたのであった。そして、肉を抉る感触の代わりに、金属がぶつかる感触がたまに走るのであった。
 その感触の正体を、たまはすぐに気付く事となる。
「へえ〜、苦無(くない)なんてものをこの現代に持っている人がいるなんてね」
 それは、投擲にも接近戦にも使える忍者特有の刃物である、苦無であるのだった。それを、咄嗟の判断で千影はたまの爪攻撃へと合わせたという事なのであった。
 攻撃を防がれた事を瞬時に察知したたまは、そのまま軽やかなバックステップで再び千影から距離を取るのであった。このままではみすみす敵に反撃のチャンスを与える事はたまもすぐに判断して対処に出たのであった。
 だが、そこを逃す千影ではなかった。
「そこっ!」
 その掛け声と共に千影は懐から手裏剣を出すと、それを避けた後すぐのたま目掛けて投擲したのであった。一瞬の隙も逃がしはしまいという千影の忍としての執念だ。
 しかし、抜け目がないのは敵の方も同じであった。
「甘いよっ!」
 そうたまは言うと、すぐさま宙返りをしてその手裏剣の直進を避けたのである。咄嗟の行動で、こうも見事に対処する辺り、たまの身のこなしは相当なものであろう。
(現代で、忍者たる私にこうも太刀打ち出来る者がいたなんてね……)
 平和な世の中である現代において、そこに安心しきった人が多いが故に戦闘能力な有していないのがほとんどである。格闘技などで自分の肉体を戦いの為に磨きあげたような人は人間全体で言えば多くはなく、そのような技量を持っていればその道で飯を食っていける程なのでから。
 そのような時代で、純粋に戦闘能力で自分に肉薄する者がいる……。その事実に千影は心躍らせるのであった。
 そう、彼女はクール&ビューティーな容姿をしてはいるが、その内面は強い者と戦うのが好きという
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