第6話 千影と決闘士:前編
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だね。はたまたその忍として洗練された技量って所かな?」
「それらは関係ないわ」
巫女としても、忍者としても驕るつもりはない千影はそう答えるのだった。いや、この場合はもっと根本的な事があるのだった。
「そうも『天井に張り付いていては』ばれるのも当然でしょう?」
そう、その者は本業の千影も真っ青な天井張り付きという忍者顔負けの芸当をこなしていたのであった。
しかし、当のその者は心外といった様子で反論する。
「え……でも他のお客さんは気付いていないみたいだけど……?」
「現実を見なさい、今まではたまたま運が良かっただけで、すぐに気付かれたと思うわ」
そうたまたまである。千影は忍者といういう役職上、天井にも意識を向ける癖があるからすぐに気付いただけで、普通の人でも不意に天井に目をやれば普通に気付くというものであろう。
ともあれ、今の状況を整理すると、千影の前に刺客が現れたという事は紛れもない事実なのであった。こんな仕様もない惨状な参上ではあるが。
なので、千影は手っ取り早くこう提案するのであった。
「あなた……一応確認しておくと大邪衆ね。それなら場所を変えましょう? あなたも一般人に手を出さずに私だけを狙ってきたのでしょうから」
「話が早くていいね。そんなあなたには名乗っておく価値はあるわね。私は『たま』よ」
そう猫耳和服少女の『たま』は潔く名乗りをあげたのであった。──天井にはりついたままで。
◇ ◇ ◇
「危ない所だったわ……」
「ええ、もしあのままあなたが気付かなければあたいに倒されていたものね?」
そう得意気にたまは千影に挑発的に言う。しかし、これも根本的な所から違うのであった。
「いや、私が言いたいのは、そんなミニ丈の和服で天井に張り付いてて、よく『見えず』に済んだって事よ……」
「大丈夫だよ、和服だけど、穿いてますから☆」
「……」
千影は絶句するしかなかった。確かそんな持ちネタの芸人が昔いたなあと思いながら。
そして、ぱんつ穿いているからそれでいいのかと。女子として余り見られたくない聖域でしょうにとも思うのだった。世の中には勝負下着というものはあれど。
そんな浮ついた内容のやり取りをしつつも、千影はある事を見逃してはいなかった。そう、たまの頭に備え付けられている立派な猫耳である。
そして、洞察力に優れた彼女は確信するに至っていたのであった。──この猫耳はたまの『本物』であるという事を。
猫耳がアクセサリーによる付け耳ではなく、れっきとした実物……。そのようなファンタジーやメルヘンの産物のような内容が、今正に千影に突き付けられているのであった。
そして、和服に穴を開けて露出させているのだろう、尻尾までも本物であるようだった。断じてよく出来た内蔵機械により動くアクセサリ
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